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Aside
「動くなよ」
ボディーガードの男が言う。
気づけば体制を立て直し、こちらに再び拳銃を向けていた。
「殺すなとは命じられているが、手足一本くらいなくなってもかまわないと言われている」
手足、一本くらい。
私の価値はそんなもの。
それはそれでいい。
諸伏が助かればそれでいい。
動くなという忠告を無視し、私は思い切り携帯を真っ二つに割った。
鈍い銃声が響く。
反射的に閉じた目。
しかしいくら待てど痛みは襲ってこなかった。
うっすらと片目だけ開けば、倒れる男の姿がうつる。
その後ろには艶やかな金髪をいじる女性がいた。
『ベルモット……!なんで』
べ「なんでってアジトの前でどんちゃん騒ぎしてれば、誰かは駆けつけるわよpuppy」
彼女の声色が、いつもよりも一段と低い。
これは相当怒っているな。
拳銃を構えたままのベルモットは、その高いヒールの音を響かせながら近づいてくる。
ビンタコースか?
それだけじゃすまないか?
どちらにせよ再びやってきた脅威に、私は為す術もなくぎゅっと目をつぶるしかなかった。
痛みはやはりやってこなかった。
ふわりと香水の香りが漂い、頭の後ろに手が回る。
そしてそのたわわの胸に顔を包まれていた。
ぎゅっと肩まで抱きしめられる。
彼女の手が少し震えているのがわかった。
べ「間に合ってよかった」
『………』
顔はあげられない。
それでもベルモットがどんな表情をしているのかはわかる。
懐かしい香りにそっと私は身を委ねた。
優しいお母さんの香りがした。
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白ウサギ(プロフ) - まなさん» ありがとうございます!励みになります。頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします (2020年12月15日 17時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - めっちゃ面白くて1話から一気読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2020年12月15日 14時) (レス) id: 0c8a00fae9 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - 毬莉さん» コメントありがとうございます!絶対松田さんは待ってくれると思います! (2020年10月4日 14時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
毬莉 - 陣平のこと大好きです!こんなに手が汚れてしまった私でも待っててくれる彼は最高です!更新頑張ってください! (2020年9月29日 0時) (レス) id: 6812348321 (このIDを非表示/違反報告)
白ウサギ(プロフ) - ありがとうございます。更新頻度は少なくなりますが、頑張ってきいきます (2020年9月26日 1時) (レス) id: b629e84f8a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白ウサギ | 作成日時:2020年8月14日 15時