檸檬色の君【アンナチュラル】

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ASide







『かなり細い…………栄養失調の可能性がある』


「くそ！なんで東海林帰ったんだよ！」





そう、東海林さんがいないと専門的な検査はできない。


私は骨の形が浮き出る手首を握る。


肋骨が外から見てもどこが折れているかわかる。


爆発の衝撃で折れたのか。






『明日までにできることだけやりましょう』









それから夜遅くまで解剖をしたが、特に何か発見はなかった。


自爆。それは間違いないだろう。


外国で宗教や何かの主張によるテロは聞いたことがある。


でも何故、今日本で？


集団による犯行ならもう犯行声明がでていてもおかしくない。


なのになんの情報も入ってきていない。







『なんで犯人は自爆なんてしたんだろ…………』





私は施設にあるシャワーを浴び、髪をふきながらパソコンとにらめっこをしていた。


やはりどのサイトにも声明は公表されていない。





もしかして、単独………？








「おい。もう寝ろ」




振り向くと、所長室の扉にもたれ掛かる中堂さんがいた。



寝れるわけ、ないじゃないか。






『人が十人も亡くなっているんです。

一刻も早く解決したい』







私は知っているから。


熱風に焼かれる皮膚の痛みを。


煙にまかれる喉と瞳の乾きと苦しみを。






何故自爆なんてしたんだろう。



私だったらどうした？



誰かの敵？それとも自己満足？



鍵は言葉だ。




報復、贖罪、贄。




可能性が高いのは復讐。



巻き込まれた人達の中に憎い人がいた？


それとも全員？






でも何故あんなに……………。








「A！」



『っ、』






名前を呼ばれ我に戻る。





「寝ろ」


『でも！』


「いいから寝ろ！身体が持たない。

久部も言っていただろう。体調が悪そうだと」






あれは違う。


違うんだ。





『………眠れないと言ったら？』


「意地でも寝かせる」








『…………それは寝るしかなさそうだね』









目をつぶって考える。


今までのことがすべて夢で、本当はまだ私は幼い子なんじゃないかって。


次に目を開ければ何かが変わってるんじゃないか。






でもそれはありえないんだ。

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