檸檬色の君【アンナチュラル】 (ページ5)

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ASide

挨拶をした瞬間、わっと部屋が盛り上がる。

「可愛い！え、何歳？Aちゃんって呼んでもいい？」

「ちょ、東海林、Aちゃん困っちゃうよ」

「あ、もうAちゃんって呼んでる！私も呼ぶからねー」

こちらの元気のいい女性二人は東海林さんと、三澄さん。

所長からいくらか話しは聞いている。

「そういえば、Aさんはどの班に入るんですか？」

メガネの青年がポツリと疑問をこぼす。

彼が記録係の久部くんだろうか。

「人数的にAさんは中堂班になりますね」

「え…………それ大丈夫なの？」

東海林さんが思いっきり顔をしかめる。

カップラーメンをすすっていた、中堂さんと思われる人が顔を上げた。

そして一言。

「足手まといになるなよ」

…………………はい？

「ごめんね、あの人ああゆう人なの」

三澄さんが両手を合わせる。

そっかそっか。

毒舌なんだね、うん。

『私も言わせて貰いますけど、

あなたこそ、私の邪魔をしないでくださいね』

ピシッと空気が固まる。

それでも私は言葉を止めなかった。

『それに、私はやるべきことがありますので。絶対に口を挟まないでくださいね』

そう、私にはしなければいけないことがある。

それを実行するためなら手段は選ばない。

きっともうこれ以上、傷つくことはない。

すでに私の心は壊れているのだから。

中堂さんと目線がある。

なんなの、その瞳は。

まるで憐れむような、同情するような、

その光はなんなんだろう。

『………………』

「………………」

目が合うその沈黙が嫌だった。

真実を確かめるような、全てを見透かされるような。

ただ変なやつだと、見られているだけなのかもしれない。

けれどもこの人は……………。

「その減らず口、開かないようにしてやる」

ああ、私の深く考え過ぎだった。

中堂さんはただ反抗されてムッとしたのだろう。

安心して私は胸を撫で下ろす。

『私、口も実力でも負けないので』

だって私は"死神"なんだから。