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真っ暗な闇の中。


ここはどこだろう。


私は何をしていたんだっけ…………?


萩原を助けて、傷が開いて。


それから?






………私は誰だっけ。





このまま闇に溶けてもいいと思った。


溶けて消えて、全て忘れたいと思った。


一体何を忘れるというの?







"あの男はお前の父親ではない"






そう、そのことだ。


なら本当の父親は誰なんだ。






"お前の父親は……………………"







私は信じる。


あの人の言葉が嘘であることを。


でもそれが嘘でないと知っている。






"お前の父親は…………………私だ"





嫌だ、嫌だ。


あんな奴と血が繋がっていてたまるか。


私は、私は……………。








?「A」




私を呼ぶのは誰。




?「俺の前からいなくなるな………………」








闇の中に差し込む光。


貴方は私を照らしてくれる。


道に迷わないように、照らしてくれるんだ。


次は貴方を助けるよ。




…………松田。









『………………』



目を開ければ、涙が一筋こぼれた。


なんの涙かはわからない。


意味なんて無いのかもしれない。


微かに香る薬品の匂い。


病院…………か。


起き上がろうとすれば痛みが走る。


ふと手が何かにぶつかった。





松「……………………」




ベットに体重を預けて眠る松田だった。


あまりに気持ち良さそうに眠っているものだから、ついその天パを撫でる。


…………と、急に腕を掴まれた。


びっくりして肩が跳ねる。





松「……………おはよ」


『お、おはよう。びっくりした。起きてるなら言ってよ』


松「とりあえず一発殴らせろ」


『はぁ!?…………いたっ!本当に殴った!?』





頭を思いっきり叩かれる。


お返しに拳で胸板を殴るが、弱々しいパンチにしかならなかった。


松田はやり返すことはなかった。


変わりにギュッと抱き締められる。





『………………松田?』


松「黙ってろ」





顔を隠すように私の肩に顔を埋めてくる。


吐息が首にかかってくすぐったい。


少しだけ、彼の体が震えていた。





松「心配…………したんだぞ」


『ごめん』


松「……………絶対にいなくなるな」


『いなくならないよ』






みんなを助けるまでは。


その言葉は言わない。


私は闇を抱えすぎたな。






『松田、泣き止んで』


松「……………泣いてねぇっ」


『泣いてんじゃん!?目、真っ赤だよ!?』


松「うるせぇ!!」

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sou(プロフ) - 運命が決まるのって11月7日ではないのでしょうか? (2022年3月20日 13時) (レス) @page4 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 終わり...なんですか!?めっちゃ面白いです更新楽しみにして待ってます!頑張ってください! (2020年5月16日 0時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
飾り物。(プロフ) - か、か、、完、、結、だと?! (2020年1月4日 0時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続きみたいです( ; ; ) (2019年10月11日 20時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続きをください!お願いします。 (2019年6月18日 18時) (レス) id: 14e676a59f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ x他1人 | 作成日時:2018年12月4日 1時

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