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ASide





バーに通いつめて、酒に溺れてはや二週間。


麻薬組織の人間は完全に私達に心を許していた。


そりゃそうだ。


やらせてくれて、酒代もきちんと払ってくれて。


これほど気前がいい客はいないんじゃない?


だからその築き上げの一方通行の信頼を、


この手で粉々にする。





ベ「puppy、銃は持った?」


『ええ。仕掛けるタイミングはベルモットに任せるわ』


ベ「OK」





いつものように少しお洒落をして、いつものように二階に上がって。


そしてベルモットと一緒に私も上着を脱ぎ始めた。




「お、ようやくそっちの子も抱かれる気になったのか?いい体してるよな」


『ええ。今日は私もいっぱい楽しもうと思って』






コートを脱ぎ捨て、薄い上着もするりと脱ぐ。


ベルモットも同じように、焦らしながら服を脱いでいった。


彼女がスカートに手をかける。


私もそれに合わせてスカートの中に手を入れ、隠し持っていた拳銃を握った。






ベ「さぁ、楽しんで頂戴。最後の夜を!」






ダンッ、と響き渡る銃声。


額の中心にヒットした弾丸。


あっけなく崩れ落ちる男を見て、周りの表情が一転する。


驚き、失望、動揺、怒り。


手に取るように感情の動きがわかる。





『でも動き出しが遅い』





続けて打つ銃弾は肉の中に埋まっていく。


痛みに呻く声、下の階から聞こえる悲鳴。


きっとジン達が突入してきたのだろう。


鮮やかに飛び散る赤は美しく、


退屈な夜空を綺麗に飾る。





"もっと壊せ、快楽に溺れろ"




あの人の声がちらついた。


私を闇に引きずり込もうとする声が。





『煩い。私は私だ』




"それはどうかな。お前は知らなかった。知らされていなかったではないか"



『それがなんだ。裏切りなんて日常茶飯事だろう』



"そう思うのなら、何故未だに私の声が頭から離れないのだ?"



『っ!黙れっ!!』






いるはずのない架空の男に向って銃を打つ。


声はピタリと止まった。


息が上がって呆気に取られる。


そう、私は裏切られた。


そう思い込みたいだけなのかもしれない。


私に信じる以外の道はないのだ。


…………少なくとも、母は私を助けてくれたのだから。






ベ「puppy!危ないっ!」


『え?…………っ、!』






私自身に気を取られすぎていた。


流れ弾が脇腹に当たるのがわかる。



…………痛いなぁ。




私はまだ生きているのか。

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sou(プロフ) - 運命が決まるのって11月7日ではないのでしょうか? (2022年3月20日 13時) (レス) @page4 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 終わり...なんですか!?めっちゃ面白いです更新楽しみにして待ってます!頑張ってください! (2020年5月16日 0時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
飾り物。(プロフ) - か、か、、完、、結、だと?! (2020年1月4日 0時) (レス) id: db0db57d74 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続きみたいです( ; ; ) (2019年10月11日 20時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続きをください!お願いします。 (2019年6月18日 18時) (レス) id: 14e676a59f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白ウサギ x他1人 | 作成日時:2018年12月4日 1時

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