二話 ただならぬ関係!? 完 ページ10
「大正解〜!!お久しぶりですね、おじさま!」
Aは嬉しそうにぴょんと飛び上がると、
変化の術をといて、
元の狐耳と尻尾のある姿に戻った。
その姿を見ると玉藻は目を細めて、
「すっかり大きくなられましたね…」
と、なんとも嬉しそうにつぶやいた。
……A、つまり一娘公主はその昔、
玉藻にいろいろな妖術を教わっていた時期があった。
Aの父である九尾の狐が、
その頃いちばん年長者だった玉藻に対して、
じきじきに世話係を命じたのだった。
玉藻は張り切って、
いろいろな技をAに伝授した。
たとえばべつの姿に変身する変化の術、
それに妖狐一族の奥義「火輪尾(ひわお)の術」に、
玉藻お得意の動くものを幻に変える
「幻視(げんし)の術」も丁寧に教えた。
美味しいいなり寿司の見分け方まで教えたら、
「それは父が教えたかったのに…」
と九尾に文句を言われてしまったが。
ありとあらゆる技を覚えて、
玉藻から教えられる妖術がなくなってしまってからは、
Aの母であり女神である女媧が、
どこかに遊びにいく(本神いわく神のつとめのひとつらしい)時など、
修行中でも呼び出されてよくAの子守をしたものだ。
「そんな公主(こうしゅ=姫さま)が、もうこんなに成長されていたとは…」
「そういうおじさまだって、
随分な色男に化けたじゃないの。」
「この見た目はそんなにもてはやされるようなモノなんですか」
「ええ、小さい女の子から大きなお友達まで
大人気間違いなしだわ。」
「お、大きなお友達…?」
「なんでもないわ。
それよりおじさま、この学校に入り込んだ強い霊力の持ち主って、もう誰だかわかったわよね?」
「ええ。一娘姫、あなた以外には考えられません」
「よろしい。
サテ、お仕事が終わったところで、
ひとつ私からお願いがあるのだけど。」
「お願い…ですか?」
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作者名:こーむ稲田 | 作成日時:2014年11月30日 10時