二話 ただならぬ関係!? ページ8
「次、どうぞ」
「お願いします」
何事もないそぶりで丸イスに座る。
ちらりと玉藻の方を見ると、
ボードの紙をみてなにやら眉をひそめている。
「先生?」
「ああ、失礼…。えっと君は…じょ…」
「めがみやです。女媧宮 A。」
「ああ、そうだったね…。じゃあ、聴診器当てますよ」
「はい」
大人しく検診を受けるあいだ、
Aはずっと玉藻の様子を観察していた。
観察する、といっても外見をながめるだけではない。
妖狐と女神という強力な霊力を持つ血を引いたAは、
相手のもつ魂の「色」と「性質」を見分けられる。
玉藻の魂魄(こんぱく)の色と動きを、
Aはどこかで見たことがあった。
「……とくに異常はないようです。健康そのものですね。」
「ありがとうございました」
………健康診断が終わったあとの昼休み。
Aはさっそく玉藻のあとをつけて、
様子をうかがった。
「玉藻お前、今度は何をしに来たんだよ?
ハッまさか何か邪(よこしま)な理由で…!?」
すぐそこの廊下のかどで、
玉藻がぬ〜べ〜にここに来たわけを問い詰められている。
「フッ、違いますよ。
……この学校に、またも強い霊力を持った何者かが紛れ込んだのを感じたのです」
「何だと?………あ」
「なにか思い当たる節がありますか」
ぬ〜べ〜にとって思い当たる節。
Aはどきっとした。
ぬ〜べ〜にだけは、ここにきた初日にはもう、
本当の姿を知られている。
(べつに先生以外に知られたからといってどうってこともないんだけど、
せっかくバラすなら自分でバラしたかったのよね…)
まあ今となってはアフターフェスティバル……、
とため息をついて、Aは柱の陰に隠れた。
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作者名:こーむ稲田 | 作成日時:2014年11月30日 10時