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一話 新ライバル!? ページ4

「では校長、校内の見回り行ってまいります」

「よろしくお願いします、鵺野先生」

夕方、宿直当番だったぬ〜べ〜は校内の見回りに出た。

定期的に除霊が出来るいい機会である。
霊を映し出す霊水晶に、経文、数珠をたずさえて、
暗い廊下を歩き出した。


「1階は異常なし、二階も通常どおり…。
おかしいな、まだどこかに妖気を感じる。

となると、まだ見ていない三階が怪しいな!」

嫌な予感がする。
階段を駆け上がるほどに、感じる妖気は強くなっていく。

ひときわ妖気が濃厚になった、その時。

「きゃーーっっ!!!」

「!!」

女の子の悲鳴が、すぐ近くで響きわたった。


「大丈夫か!!」

悲鳴が聞こえたのは家庭科室の中からだ。
引き戸を思い切り開け放つと…、

「た、助けてえぇ…!!」

「ギシャシャシャシャ!!」

巨大な蜘蛛がひとりの女の子の上におおいかぶさり、
今にも喰らおうとしていた。

……鬼の顔、虎の胴体に、
八本の細長い毛むくじゃらの蜘蛛の足を持った、

妖怪・土蜘蛛が…。

「待ってろ、今助け…、」
「落ち着いて、今助ける!!」

「……へ?」

急いで踏み込もうとしたぬ〜べ〜の目の前には、

………既に先客がいた。

「そこをどきなさい、土蜘蛛よ、
今なら逃がしてあげてもいいわ!」

「……A!?どうしてお前がここに!」

「………誰ッ!!」

殺気立って振り向いた少女はやはりAだった。

「先生!?どうしてこんなところに!」

「説明している時間はない、下がるんだA!
あれは妖怪だ、
何をするつもりか分からんが、お前に太刀打ちできる相手ではない!」

ぬ〜べ〜は訴えるが、
Aが動く気配はない。

「何をしてる、早く…、」
「鵺野先生、いや、ぬ〜べ〜。
ここは私にやらせてください」

「……は、ハイ?」

ぬ〜べ〜…鵺野鳴介は、
新しい教え子の言った言葉が一瞬理解できなかった。

こんなに小さい子が妖怪にどう向かっていくというのか。

「ダメだ!相手は霊体だぞ、人間に敵う相手じゃない!」

「では、この姿を見れば信じてくれますか?」

えっ?とぬ〜べ〜がAを見つめた。

その姿が眩しい光に包まれる。
そして光の中から現れたのは少女の姿ではなく…

すらりと長い手足、みずら髪のように輪っかを作って結われた長い黒髪、
そして、金色の大きな狐耳とふさふさとした尾…。

そこにいたのは、獣耳を生やした世にも美しい女であった。

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作者名:こーむ稲田 | 作成日時:2014年11月30日 10時

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