三話 列島征服…? 完 ページ12
「公主(姫様)には何でもお見通しのようですね」
「まあね…とにかく私のお願い、
受け入れていただけるかしら?」
じーっと、Aは玉藻のグリーンアイをみつめる。
妖狐族の最高権力者・九尾の狐。
そのまなむすめにじーっとされれば、
400歳の妖狐玉藻でも、
逆らうことなどできはしなくて…。
「…はい。
そうさせていただきます」
彼はおとなしくコクンとうなずいた。
「ん、よろしいっ」
玉藻の返事を聞くと、
Aは満足そうな笑顔をみせて、
ぴょこんと立ち上がった。
「それで?
おじさまはこれからどうするの?」
「公主のことが心配ですから、
私もちょくちょく顔を出しますよ。」
「ほんと?それは頼もしいわ!
あっ、でももう一つお願い…」
「何でしょうか?」
首をかしげる玉藻。
Aはにこっと笑って、言った。
「その『公主』ってのはやめてもらえるかしら。
姫さま姫さま呼ばれるのは、
家にいる時だけで十分だわ。
私のことは『A』と呼んでほしいの」
「では…A様」
「ノンノン。様づけも許しません。ほら、『A』!」
「そんな無茶な…。
えっと…Aさん…?」
「敬称略で!呼び捨てしろと言ってるのよ。
……命令よ!」
「うっ。…ご命令では逆らえませんね。
…ええと…うーん……A…?」
「玉藻のおじさま♪」
「何でしょうか、A」
「ハイ、合格!
よくできました。」
やっとこさ合格点をもらって、
玉藻はちいさくため息をもらした。
(ふう…。これは、また騒がしくなりそうだ。
鵺野先生、
あなたはこのお方を上手くあつかえるか…?)
閉ざされた空間に裂け目ができる。
まばゆい光に包まれて、
玉藻はそっと目をつむった。
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作者名:こーむ稲田 | 作成日時:2014年11月30日 10時