熱愛上等宣言 Ren

グレープ味 ページ12

突如。教室が騒めいた。


え。何？









それは、紛れもなく。

女神によるものやった。








「あ、あの、永瀬君……いるかな？」


教室を覗き込むAは、

自分に視線が集まってるのに気がつくと、






きょとんと、した顔で。

お辞儀をした。

それもこれも演技やったりするんやろう








廉「何しに来たん？」



「ちょ、来て」









余計に騒めく教室を背に、

人気のない所へ。








「はい、これ」



わざわざ、猫かぶってまで何を持ってきたのか。




廉「は？」


「れ、廉が買ってこいって言うから」







ガム。

グレープ味のガムは確かにおれが欲しかったもので、









廉「羽生田に持ってこさせればよかったんに」


「あ、」





……抜けてる。









廉「ありがと」

「……うん」






廉「ほんまに買ってくると思わんかったわ」


「……実は、これを担保に頼みがあったから」









おれはこいつの頼みを断れへんやろうなって。


自分でわかる。


ガム買わせたからとかちゃうくて。



ちゃうくて……

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