【中編集】何も聞かないでよ【歌い手】 (ページ2)

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Aside

「ねぇ…何それ。」

遂に…見つかってしまった。お兄ちゃんである真冬に。
いつかは見つかると思ってたけどさ？

アムカ

アームカットの略で
腕切ること。

「何って…見ればわかるじゃん」

まふ兄は、はッと息を呑んでから言った。

「アムカ…？」

「そうだよ？正解。」

クイズでもしているかのような軽い口調で言う。

「何してんの！？！？また自分で抱え込んだんでしょ！！！もう…ゲホッ、ゴホッ……ん…」

「まふ兄！無理しないでよ。私は大丈夫だから」

「大丈夫じゃないから言ってるのに…」

って、まふ兄。急に叫んだから咳込んじゃってるよ。
でもさ…まふ兄には関係ないよ。

「まふ兄には関係ないじゃん。ほっときなよ。」

…こんな面倒くさい奴。

「だって…僕ら家族でしょ？僕が守らなくてどうするの…情けな。」

段々とまふ兄は泣きそうな声色になっていく。
私は…まふ兄にこんな顔をして欲しかった訳じゃないのに。

いつもすれ違ってしまう。
私って悪い子だ…こんな奴消えればいいんじゃないの？

まふ兄は情けなくなんてないのに。
なんで自分を責めるような言い方するの？
悪いのはまふ兄じゃないよ

「ごめん、まふ兄。でもさ…まふ兄が悪いんじゃないよ。悪いのは私だから。」

「でもさ…気付けなかった僕にも責任あるでしょ？」

どこまでも自分を責めるよね。
その癖、辞めたほうがいいよ。

「ほら、まふ兄も自分を責めてるじゃん。」

「あっ、そうだ…じゃあ！五分五分ってことで。いいでしょ？」

「ふふっ、いいよ？」

まふ兄の為にも、やめないとなぁ…アムカ。
でもこういう系の癖って抜けにくいから大変かもな…