【アルスマグナ】 Train 2【泉奏】 (ページ46)

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中庭のベンチにウィトくんを座らせ、鞄の中から寝癖直しを取り出した。

「うわー……どういう寝方したらこんな寝癖になるの？」

ウ「えっ？！いや、普通に寝ただけなんですけど……」

ウィトくんが頭をポリポリと掻いた。

「今日は告白の日だもんね、いつも通りの髪型に直さなきゃ」

私は袖をまくりながらそう言う。

ウ「は、はい……」

ウィトくんの元気のない返事が返ってきた。

「……どうしたの？告白やめるの？」

寝癖直しをウィトくんの髪に吹きかけながら問いかけた。

ウ「いや、やめないですけど……」

ウィトくんはパッと私の方を向いた。

私はウィトくんが何を言い出すのかわからず、ウィトくんの目をじっと見つめた。

ウィトくんが視線を逸らす。

ウ「……僕、告白したらその人と距離が遠くなっちゃう気がするんです」

俯きながら不安げに呟くウィトくん。

「大丈夫だよ！素直なウィトくんが好きになった人ならきっと優しい人なんだろうし！」

私の言ったことを聞いて、ウィトくんは少しハッとした表情をした。

ウ「僕が好きになった人……優しくて、一緒にいると楽しくて、ダンスが上手なんです。ダンス部でマネージャーとして僕らを支えてくれてて……あ！」

ウィトくんが急いで口を手で押さえた。

ダンス部のマネージャー……？

私しかいない……よね？

「わ、私……？」

私が指で自分のことを指すと、ウィトくんはゆっくりと頷いた。

ウ「僕……A先輩が好きなんです」

ウィトくんがベンチから立ち上がり、私の前に立ってそう言った。

私が黙っていると、ウィトくんが話し出した。

ウ「本当は、今日の放課後に告白するつもりだったんですよ。でもなんかこんな流れになっちゃって……。奏先輩にも協力してもらったのに、計画不足でしたね」

ウィトくんは苦笑いをした。

「……なんで私なんかを好きになったの？」

話すことがなくて、なんとなく聞いてみた。

ウ「僕が風邪を引いたとき、看病してくれましたよね？あの時から好きでした。優しいところだったり、家庭的なところだったり。そんなところに惹かれたんです」

……聞いたところで、なんて返していいのかわからない。

私が黙っていると、ウィトくんがさらに続けた。

ウ「僕、この恋が叶わないことわかってます。A先輩見てて気づいたんです。A先輩は……奏先輩のことが好きなんですよね？僕が奏先輩に勝てるわけないじゃないですか」

本当に返す言葉がなくなってしまった。