【アルスマグナ】 Train 2【泉奏】 (ページ28)

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story 75 ～奏side～ページ28

～奏とAが門で話終わった時まで話が遡ります by 作者～

今日のAさんはどこかおかしい。

顔は赤く、息も少し荒い。

俺にはわかった。

さっきのAさんの笑みは、無理に出しているものだと。

俺は他の風紀委員になんとか言い訳して、Aさんの後を追うことにした。

階段を早歩きで上る。

Aさんが少しフラつきながら階段を上っていた。

Aさんが少しキョロキョロしたところで、俺は声をかけた。

泉「寝不足ってだけでそんなことにはなりませんよね？何かおかしいと思って付いてきたら……やっぱり風邪かなんかなんじゃないんですか？」

「……本当に大丈夫だよ」

大丈夫だなんて、嘘をついているに決まってる。

泉「あなたって人は……無理をしている時はいつも不自然な笑顔を見せる。そしてその場を立ち去ろうとする」

俺は階段を更に上ってAさんの前に立った。

泉「どうしますか？このまま教室に向かうか、階段を下りて保健室へ向かうか」

俺はなるべく優しく問いかける。

「……教室に向かう」

……この人はバカなのだろうか。普通に授業を受けられるとでも？

泉「それで心配かからないとでも思ってるんですか？このまま教室に向かったら、余計心配かけるに決まってるじゃないですか」

俺は冷たく言い放った。

Aさんが肩を落とすのが見える。

「でも、勉強追いつかなくなるし、もっとみんなといたいし……」

そんなことだったのか。なら……

泉「勉強なんていつでも教えてあげられます。皆さんだって、どこへ逃げたりはしませんよ」

Aさんは少しボーッとしている。

熱が上がったのだろうか？

泉「……どうしたんですか？」

「……えっ？」

泉「いや……何かボーッとしていたので」

俺がそう言うと、Aさんは笑顔で手をヒラヒラと振った。

「じゃあ私、ソソコ先生のところへ行くね。今日も1日頑張ってね」

そう言うや否や、Aさんはその場に倒れこんでしまった。

俺はそれをなんとか受け止める。

泉「……Aさん？……」

ほら、無理するからこうなるんだ。

そう思いながら、Aさんを世に言うお姫様抱っこで保健室まで運んだ。

その体はとても軽く、風邪を引くのも納得した。