【アルスマグナ】 Train 2【泉奏】 (ページ22)

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story 69 ～タツキside～ページ22

僕は、僕より少し力の強いぱっくんの腕をなんとか引っ張りながら、ひたすらに屋上の方へ歩いていた。

ウ「タツキ先輩！どうしたんですかっ！」

何度もそう叫ぶぱっくんを無視しながら。

屋上へ続く扉を開け、屋上へ出た。

そこでぱっくんが腕を振り払った。

ウ「なんですか！タツキ先輩！」

ぱっくんが涙目でそう言った。

僕はわかるんだ。ぱっくんがAちゃんのこと好きだってこと。さっき無理やり笑ってたってこと。

だってぱっくん、奏くんとAちゃんが仲良さそうにしてるといつも羨ましそうにして見ていたし、部活の時なんていつもAちゃんのこと目で追いかけてるんだよ？

今日はいつにも増してAちゃんのこと見てたけど……ぱっくん、Aちゃんと何か……。

あ、まさか！お見舞いの時にAちゃんに惚れ直しちゃったとか？！

ぱっくん、青春だね！

……目の前のぱっくんが涙目のままじっと僕を見つめている。

何か話せというサインだろう。

僕は、ゆっくりと口を開いた。

タ「ぱっくん……好きなんだよね？Aちゃんのこと。前からずっと！」

ぱっくんがハッと息を飲むのが聞こえた。

そして目を泳がせ、少し顔を背けられてしまう。

それでも僕は続けた。

タ「僕知ってるよ？ぱっくんがいつもAちゃんのこと目で追いかけてることとか、さっきAちゃんに無理やり笑顔見せてたりとか！」

顔を背けたままのぱっくんは、黙って僕の話を聞いていた。

タ「僕ね、ぱっくんが無理やり笑ってるところなんて見たくないんだ。だから……何か力になれないかな？」

そっとぱっくんの肩に手を乗せた。

すると、ぱっくんは肩に乗せた僕の手を取り、静かに下ろした。

ウ「……ありがとうございます。でも……僕、もうわかったんですよ。A先輩の好きな人とか、想い伝えたって叶わないってこととか……」

ぱっくんが溢れた涙を手で拭おうとした。

その手を僕は片手で掴み、反対の手でハンカチを持ってそっとぱっくんの涙を拭いてあげた。

そして驚いた表情をしているぱっくんの目の前に立ち、しっかりと目を合わせた。

タ「伝えてみなきゃ……わからないでしょ？」

僕はできる限り力強く言った。

ぱっくんは少し考えるようにしてから頷き、僕の手を握り返してきた。

ウ「……僕、頑張ります！想いが伝わらなくても！」

タ「うん！それでこそぱっくんだよ！」

僕はぱっくんの目から出た最後の涙を拭き取った。