【アルスマグナ】 Train 2【泉奏】 (ページ13)

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story 61 ～ウィトside～ページ13

部屋が真っ暗になった。

僕はベッドのそばに置いてあるスタンドライトをつけ、ゆっくりと起き上がった。

ドアのすぐそばにある部屋の電気をつけ、スタンドライトを消した。

こんな早い時間だし、あんなにドキドキしていたら寝られるわけがない。

この胸のドキドキ。あの顔が真っ赤になる感覚。A先輩の顔を直視できない。

これって、僕……

ウ「A先輩に、恋しちゃった……？」

思わず口に出してハッとした。

でも……恋だよね、この気持ち。

最初見たとき、優しそうな先輩だなって印象しかなかった。

でも今日、A先輩がどれたけ優しいかを知った。

少しお姉さん気質な性格、近くで見るとわかる綺麗な目、誰にでも優しく接してくれる広い心……。

そんなところに惹かれたんだろうな、僕。

ふと、A先輩の笑顔が頭をよぎった。

とても爽やかな笑顔だ。

でも僕、前から気づいてたんだ。

A先輩が僕たちに向ける笑顔と、奏先輩に向ける笑顔が若干違うってこと。

僕たちに見せる笑顔だって素敵だ。汚れのない、とても綺麗な笑顔。

だけど……奏先輩に向ける笑顔は少し違う。

なんだろう……生き生きしてるっていうのかな。

決して僕たちに見せる笑顔が偽りとかそういうのじゃなくて、さらに生き生きしているというか……。

奏先輩はどうなんだろう。

やっぱりA先輩のことが好きだったりするのかな？

……試しに明日、聞いてみようかな。

その前に、僕の恋心の相談をしよう。

そこでA先輩の名前を出して、反応を見る。

まずはそこからだ。

ふふっ、今日の僕、なかなかいいこと考えちゃったんじゃない？

……でも、ポーカーフェイスの奏先輩は表情を変えてくれるのだろうか。

そこが少し心配だな。

……奏先輩がライバルなんて勝てる自信がない。

イケメンで性格がよくて頭もよくて運動もできて……あんなに完璧な人なかなかいないもんね。

それに比べたら、僕なんてまだまだだから。

僕は元気だけが取り柄だもん。

奏先輩みたいには……なれないね。無理無理。

僕は考えるのをやめて、部屋の電気をを消してベッドに入った。

明日は奏先輩に相談してみるんだ！A先輩と同じクラスだし、もしかしたら奏先輩もA先輩のことが好きかもしれないからね！

それを探るんだ！

僕の中での一大決心を固め、深い眠りについた。