【アルスマグナ】 Train 2【泉奏】 (ページ2)

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恋愛小説をまじまじと読む泉くんのもとに、パパッと作った朝食を並べた。

「ごめんね、こんなものしか作れないけど……」

泉「美味しそうです。いただきます」

泉くんはそう言って朝食に手をつけていった。

泉「美味しいです」

泉くんはニコッと笑ってくれた。思わず安心して笑みを浮かべる。

泉くんの朝食はフレンチトーストとサラダとフルーツ。ちなみに私はフルーツヨーグルト。

泉くん、これだけで足りるかな？男の人の朝食とかよくわからない。

「……足りる？」

泉「足りますよ。大丈夫です」

そう言ってフレンチトーストを頬張っている泉くん。

なんだか少し可愛く見えた。

泉くんは朝食を食べ終わると、手を合わせて

泉「ごちそうさまでした」

と言った。

私が皿を片付けようと立ち上がった。すると泉くんは、皿をまとめて持って立ち上がり、キッチンまで運んでくれた。

「ありがとう」

泉「いえ。朝食をいただいてしまったので」

泉くんはそう言うとさっきまで座っていたところに戻り、本を読み始めた。

その本、そんなに気に入ったのだろうか。

「その本、気に入ったなら貸すよ？」

すると泉くんはパッと顔を上げて

泉「いいんですか？」

と言った。

あまりにも嬉しそうな顔をしていたので思わず笑ってしまった。

泉「……？」

「いや、嬉しそうだなぁって。その本読み終わったら言ってね」

泉「……はい」

泉くんは顔を赤らめて俯いた。

私が食器の片付けを終えると同時に、泉くんは荷物を持って立ち上がった。

泉「いろいろと申し訳ありませんでした。また明後日の学校で会いましょうね」

「うん！」

泉くんは私に背を向けて玄関へと歩き出した。

あ、寝癖……

「あ、ちょっと待って！」

泉くんはなんだといった様子でこちらを振り向いた。

「……寝癖……ついてるよ？」

私は自分の頭を使って寝癖の付いている場所を教えた。

泉くんはそれにならって自分の頭を触った。

そして泉くんは寝癖に気付いたのか、顔を赤らめた。

「……直すよ」

私はそう言って洗面所から寝癖直しと櫛を持ってきた。

泉「……ありがとうございます」

「とりあえず座って」

泉くんを近くにあった椅子に座らせた。

寝癖直しを泉くんの髪に少しずつ吹きかけ、櫛で整えた。

寝癖を全て直すと、泉くんは慌てるように立ち上がった。

泉「っ……ありがとうございます」

なんだかとても恥ずかしそうだ。

「……いいよ」

可愛いな、なんて不覚にも思ってしまった。