彼が有名になったのは好きな人を見つけるため。ただし私ではない

4話 ページ5

それから善逸はすごかった。



路地ライブをする前に、作詞作曲を作っている途中で本当に有名な事務所にスカウトされて……





いつの間にか大きなドームでライブやテレビの歌番組にまで出場。




それに、善逸の性格が世にウケてドッキリ番組からバラエティ番組にまで出るようになった。善逸を見ない日はないのではと思ってしまう。



ドッキリやバラエティでは引くくらいの変顔、恥をさらすのに、歌番組、ライブではとてもカッコイイ姿になる。




世の女性ファンの大半はこのギャップにやられたのだろう。








……私もだけど





高校卒業後、施設を出て、私たちは、ひとり暮らしをしている。



たくさん弟妹のいた暮らしからひとり暮らしに変わると寂しく感じる。



なにより、狭いはずのアパートの部屋が広く感じてしまう。



前までは、小さい弟妹たちがこのくらいのスペースで走り回って……




時々まだ施設にいる弟妹たちと手紙のやりとりをする。



その内容にはよく、善逸の話が出る。この前みたテレビに善逸が出てたやら、ドッキリで見た顔が酷いとか。




その手紙を見てクスｯと笑いながらも、善逸を思い出して、隣で泣き喚いていないでテレビで笑う姿を見て、私だけが善逸のいろんな姿を近くで見ていたのになぁ…なんて考え画面を暗くした。

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