愛おしい君は (ページ11)

今日:3 hit、昨日:8 hit、合計:12,229 hit

9 ページ11

「ハルト、泣かないで？」

廊下の奥にある人通りのない薄暗い非常階段

そこに座り込み、きっとたくさん泣いたのであろう、

目を真っ赤にさせたハルトを見つけた。

せっかくの大事な顔をこんな風にさせてしまったのだと思うと、

罪悪感でキリキリと胸が痛む。

HR「A、ごめん、本当にごめん、」

「ハルト、私こそごめんね。言いすぎたって反省してる。」

HR「俺のこと、嫌いになった？」

いつものような意地悪で口調の荒いハルトではなく、

柄にも似つかないほど弱々しい様子のハルト。

「ばか、なわけないでしょ？」

HR「よかった、ごめん。いつまでも子供のままで、」

「私こそだよ。ハルトの気持ち、何も知らないで怒って、」

HR「いや、俺がもっと素直になればよかっただけだから、」

「ハルト、私はハルトの本当の気持ちが知りたいの。」

HR「A、俺、Aのことが好きだよ。」

「え…？」

HR「昔からずっと、出会ったあの日から、ずっと好きだった。」

「それは、」

HR「ヒョンたちと仲良くしてるAを見てると、苦しくなる、イライラする、嫉妬で狂いそうになる。」

「ハルト、」

HR「Aだけは誰にも渡したくないんだよ。俺にとってAは、何よりも大切にしたいものだから。」

「ご、ごめん、でも私は、」

HR「好きだよ、誰よりもAのことが好き。」

そう涙を流しながら、私にそっとキスをしたハルト。

突然のことに頭の中は真っ白で、何も考えられなくて、その場から動くことができなかった。

HR「Aを困らせたいわけじゃない。けど、今言ったこと、全部本気だから。」

どうすればハルトを傷つけなくて済むのか。

幼い頃からずっと一緒に居たのに、ハルトからのそうゆう感情には全く気づかなかった。

ハルトのことを誰よりも知っているのは間違いなく私であり、

私のことを誰よりも理解してくれているのは他でもなくハルトであって、

だからこそ、好きだと言われて、どうするのが正しいのか分からなくて、頭の中は混乱していて、

「ごめん、ハルト、ごめんね。」

ただ謝ることしかできなかった。