深海の商人５５ ページ23
ふっと、嘲笑うように、呆れたように、でも柔らかく笑ったAさんは、
ゆっくりと僕の手を下ろして、聞いたことのないような低い声で一言。
「…二度目は効きませんよ。」
「…ッ！？」
その言葉の意味を理解するより先に、僕の身体は弾き飛ばされたかのように
Aさんから離れていました。
生物として、命あるものとして、反射的に全身で感じたのは…恐怖。
いや、恐怖なんて甘っちょろいものじゃない…
全身をおぞましい何かが駆け巡ったかのようなある種の不快感。
心臓が口から飛び出しそう、なんて表現がしっくりくるほどにバクバクと波打つ胸…
暑くもないのに全身から汗が噴き出している…
こんな姿を晒すわけにはいかないと、せめてもの抵抗で表情だけは平静を装ってはいますが
乱れた呼吸はなかなか静まらない…
「…もう、良いですか？」
「ハァ…ハァ…い、今…何を…？」
「あなたこそ、私に何をしようとしていたんです？」
「……ッ」
「…私のユニーク魔法は知られてはいけないもの。…それだけ覚えておいてください。」
「私はここでユウさんたちを待ちます。ジェイドさんも寮へお戻りください。」と、
言われてしまえばこちらは戻るしかありません。
「では。」と、なんとか声に出し、僕はオクタヴィネル寮へ戻っていきました。
道中、僕には大量の疑問符。
二度目？僕はいつ、彼に『
未だ心音が頭に鳴り響き続ける中、僕は必死に記憶を手繰り寄せるも、答えには行きつかない。
去年…そう、去年だ。
モストロ・ラウンジ開店の為、人質となる生徒を集めようと
頭の弱そうな生徒に目星をつけて声をかけていた……
１年前――。
「こんにちわ。」
「こんにち…！？…わ。」
声をかけると、反応して振り返り、僕の身長が高かったせいか、
その方は分かりやすいくらいに体をビクッと跳ねらせて見上げてきました。
海にいたころ、たまに水面近くまで行ったときに見た、あの雲のように真っ白な髪。
黒い物々しいマスクで口元は見えませんが、その分白い髪から垣間見える緑色の瞳が印象的でした。
胸の前でもじもじと手を触りながら、挙動不審にオロオロとしていることから
完全に『カモ』だと思いました。
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あいすまん - 白樺葵さん» ひゃっほい∩^ω^∩ (2021年8月30日 13時) (
レス) id: 52e829b9c7 (このIDを非表示/違反報告)
白樺葵(プロフ) - あいすまんさん» そして！そう！！そうなんですよっっ！！満を持して！遂に！待ちに待った！！イグニハイド章が来るんですよ！！もう今日それだけを楽しみに仕事頑張りますから…！！ひゃっほぃ！！ (2021年8月30日 7時) (レス) id: 23d4604142 (このIDを非表示/違反報告)
白樺葵(プロフ) - あいすまんさん» あいすまんさん！おお！コメント一番乗りありがとうございます！！いやー…いつの間にこんな…１ページにつき2000文字くらいしか入らないからどんどんページ数だけが積み重なってしまって…(汗)今後も頑張ります！よろしくです！ (2021年8月30日 7時) (レス) id: 23d4604142 (このIDを非表示/違反報告)
あいすまん - 今日六章きますね！！！ (2021年8月30日 3時) (レス) id: 52e829b9c7 (このIDを非表示/違反報告)
あいすまん - 続編おめでとうございます！今回もコメントは一番乗りをもらいました！！！これからも更新頑張ってください！！！応援してます！ (2021年8月30日 3時) (レス) id: 52e829b9c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白樺葵 | 作成日時：2021年8月29日 16時
