閑話３５ ページ3
その日の放課後。
私はトレイン先生の私室前にいました。
控えめにノックをすると、すぐに「入りなさい」と返事が返ってきました。
トレイン先生の私室は、魔法史や動物言語を担当してらっしゃるだけあって
壁一面の本棚にはぎっちりと専門書や分厚い本が並んでいました。
落ち着いた木の色を基調とした部屋の真ん中に
ゆったりと座れる椅子があり、普段と同様
ルチウスさんを膝に乗せたトレイン先生がいらっしゃいました。
『わざわざ時間を取っていただきありがとうございます』
「いやなに、試験前の時期に生徒が質問に来るのはごく当たり前のことだ。
……その当たり前のことすらしない生徒がほとんどだがな。」
いつもよりさらに眉間に皺を寄せたトレイン先生が
低い声で呟きました。
私は、ははは…と何とも言えないリアクションを取ることしかできません。
「そこに座りなさい。」
『はい』
「…それで、質問というのは？」
『はい』
長文になることはわかっていたので、あらかじめノートに書いてきました。
ページをめくり、トレイン先生に指さします。
「ん？」
『人の心の中を覗いたり、過去を覗き見る・知ることができるような魔法ってありますか？
もしくは、妖精族や獣人族のように人間にはない身体的・精神的能力など。
歴史上そういう史実や能力者の記述があるなら教えていただきたいです。』
「……」
端的に書いたつもりですが、先生からすれば突拍子もない内容だったのでしょう。
でも、私はずっと引っかかっていました。
ドワーフ鉱山での一件以降、こんな短い期間にオーバーブロットを2回も目の当たりにして、
ブロットの化身に干渉したときに見えたあのヴィジョン…
あれは幻覚なんかの類じゃなかった。
そして、ヴィジョンを見た後に話したリドルさん、レオナさんは
現在の姿じゃなかった。あれは彼らの過去だったり未来の姿でした。
であれば、可能性として、ドワーフ鉱山のバケモノ、リドルさん、レオナさんの
心の中を垣間見たんじゃないか？と思ったんです。
実際、リドルさんはルールが嫌で泣いていたし、
レオナさんは居場所を探して泣いていました。
ドワーフ鉱山で出会った名も知らない男性は
家族のことを思っていたことも見えました。
あれはきっと、口には出せなかった胸の内だと思うのです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雲紋 狂歌(プロフ) - 白樺葵さん» 言い方が親目線(笑)pcはですね。うちのかあいいかあいい白柴に…(^^ゞ まあ、親のスマホとvitaちゃんさえあればツイステも、更新も出来るんで。悲しくなんてっ！ないんですけどっっっっっ!!! (2021年8月26日 20時) (
レス) id: ba521741cf (このIDを非表示/違反報告)
白樺葵(プロフ) - 雲紋 狂歌さん» おぉ！反応早い！(笑)嬉しいです〜♪夢主くんね、いろんな感情にあてられてしんどくなったのかもですね…(汗) アズールとのビジネストークがですか！？カッコイイってよ〜夢主く〜ん (2021年8月26日 17時) (レス) id: 23d4604142 (このIDを非表示/違反報告)
雲紋 狂歌(プロフ) - そして！更新ありがとうございます！ミュートロギアくんどした?!今後が気になりすぎる!!私的にアズールとの会話がなんかカッコよかった(?)です！ (2021年8月26日 13時) (レス) id: ba521741cf (このIDを非表示/違反報告)
白樺葵(プロフ) - 雲紋 狂歌さん» おぉ！ログインおめでとうございます！！しかしなぜパソコンが使えないように…！？ そうそう、昔っからそうで…夢小説という存在を知らなかったころから、映画や漫画を見ると「ここに自分を挿入したらどんな展開になるかな？」と想像するのが好きだったんですよ。 (2021年8月26日 13時) (レス) id: 23d4604142 (このIDを非表示/違反報告)
雲紋 狂歌(プロフ) - 映画の様に…???流石です。_(._.)_ あと！念願のログイン達成！お気に入り登録しておきました!!ひゃっほう！…pc使えなくなりましたが… (2021年8月26日 13時) (レス) id: ba521741cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白樺葵 | 作成日時：2021年7月29日 17時
