六話 ページ7
「うーん…」
僕が唸っている理由、それはもちろん、秋葉さんの件である。
【 自 殺 】であることを証明しなくてはいけないのに、【 他 殺 】である可能性が浮上してきてしまった。
首を吊る際、必要不可欠な物は、縄だ。
それと同じぐらい、踏み台となる物が必要となってくる。
しかし、それが無かったのだ。
これは【 他 殺 】としか言い様がない。
という訳ではなく。
一応、踏み台が無くても首を吊る方法があった。
大丈夫だと思う。(何が大丈夫なのだろう。)
無理がある方法ではあるのだけど。
とりあえず、秋葉さんの家に行ってみるか。
僕in秋葉さん宅
「すみません」
「はーい!あっ、こんにちは」
結構笑顔だった。
友人が心配しないようにいつも無理に笑顔を作っているのだろう。
そう考えると、同情するわけではないが、胸が痛くなる。
「夫の件でいらしたのですよね?」
「はい」
「では、こちらへ」
そして僕は、秋葉さんの娘さんの部屋へ通された。
部屋は秀仁さんを発見したあの時と全く変わっていなかった。
「秀仁さんのことで、お伺いしたいことがございまして」
「答えられることなら」
「秀仁さんが亡くなった原因となるようなことを知っていますか?」
「いえ…その前日、天国にいる娘にいい所を見せてやるって…張り切っていました」
娘さんが…とか、そういう理由では無いようだ。
「それに、職場でのいざこざも無いようでしたし。本当に、こんなことになるとは思わなくて…」
治美さんは、辛そうな表情だった。
とうとう、その場にいることが出来なくなり、また今度とだけ伝えて帰ることにした。
僕in自宅
「ただいま」
「おかえり」
妹は本を読んでいた。
流石に山積みでなく、安堵した。
「どうだった?」
「どうって…特にこれといった情報無し」
なんというか、【 他 殺 】の可能性を、確率を、上げてしまった気さえする。
「てか妹、その本何?」
ちらりと見えた題名が、僕の不安を煽る。
「ああ、[【 自 殺 】の本]だよ」
幻覚ではなかった。
「関わるなって言わなかった?」
「兄は馬鹿じゃないから必要無い筈だけど、もし馬鹿だったら困るからね」
「妹より頭が良いと思ってるよ」
「じゃあ、もうこの事件の真相も分かってるんだよね?」
「うぐ」
「私は知ってる。分かってる」
__まあ、兄も薄々気が付いてるだろうけど。
そう言って、妹は一呼吸おいた。
「この事件は【 自 殺 】なんかじゃない」
「明らかな、立派な【 殺 人 】だ」
「その犯人の名は___」
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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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