マイ探偵

二十四話 ページ29

まず一つ目。

あの事件について、何か知っていることはあるのか。

「ええ。大家さんから聞きました。私が工事した壁が崩れたとか」

二つ目。

大家さんに、どこまで聞いているのか。

「詳しくは知りませんよ。壁が崩れ、下敷きになった柚須楽さんがお亡くなりになった。その犯人として惺が疑われていると。どれも周知の事実ですよね」

まあその通りだ。

三つ目。

本当に工事はちゃんとしたのか。

「ええ、勿論です。壁を軽く叩けば気持ちの良い音が響きましたし」

四つ目。

貴方は犯人ではないのか。

「いやですねぇ…そんなわけありませんよ」

そりゃあそうだ。

犯人も犯人でない人も、捕まりたくないと思うのが当たり前だ。

そして最後。

何か他に言いたいことはあるか。

「……………？いいえ」

僕は最後に礼を言って、会社から出ていった。

さて、情報を整理しよう。

まだ誰が犯人なのか、目星は既に付いている。

それで多分間違い無いのだが、まだ動機も物的証拠も掴めていない。

それだと犯人の逮捕はおろか、せいにぃが犯人として扱われてしまう。

ひとまず、状況を軽く整理しよう。

それから、一旦家に帰って妹の昼飯兼夕飯を作ろう。

この話は………聞かれたら教えよう。

誰かに口外するようなタイプじゃないのは、一緒に暮らす僕が一番理解している。

そして、聞かれた内容について洗いざらい話したら、妹に意見を乞おう。

残念ながら、妹の方がそちらに関しては長けている。

僕なんかじゃ足元にも及ばない。

さて、妹の模範回答のような解説が、今から楽しみだ。

さっさと買い物を済ませて、料理も済ませて、話をじっくり聞かせて貰いたい。

本当に。

僕よりも探偵だよ…妹は。

でも、誰かの為の探偵ではないんだよね…。

あくまでも、僕の補助としての探偵。

言うなれば『My探偵』と言ったところか。

そんな僕の探偵は、一体どんな見解を示すんだろうね？

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