四話 ページ5
まずは現場検証。
ある程度部屋の見取り図や秀仁さんが首を吊っていた場所等を絵にしてみる。
いざ秀仁さんの首吊り姿を描いてみると、結構エグイものだった。
しっかりとこの目で見ているというのに。
そして、いつかまたこのような仕事をしなくてはならないと思うと気が重い。
そんなことを言って、事件が解決するわけではないのだが。
「 【他 殺 の 可 能 性 は 、 極 め て 低 い】…っと」
治美さんは、そんな僕の呟きに過剰に反応したのだ。
「【 自 殺 】ではないんですか?」
「いえ…ですが、…まあ、大丈夫です」
この後、【ですが】の次に何も述べないという選択は賢明な判断だったということに気付くのだが、それはもう暫く待たないといけない。
そのお陰で僕は……、おっといけない。
_____ああ。
今さっき、【僕は】の先を言わなかったのも、賢明な判断だと思う。
とりあえず、此処は警察の方々の出番となるので、ここいらで一旦お暇させて貰おう。
「あのぅ…」
「はい?どうされました?」
「先程、夫の件で、警察に電話したのですが…なかなか来なくて…」
警察が来ない?
電話したのに?
少し引っ掛かる。
というか思いっきり引っ掛かる。
「分かりました。では、もう一度掛けてみましょうか」
そう言い、治美さんに電話をするように促した。
「はい、津露警察です」
「あのっ…夫が、首を吊っていて…!」
「分かりました。住所を教えて頂けますでしょうか」
「えーっと、えーっと…」
「なら、近くに目印のような物があるとか」
「私の家には、他の家には無いような門があるんです。駅からは近いところにあると…思います」
「分かりました。大至急、家に向かいたいと思います。ああ、お名前は?」
「秋葉…治美です」
「有難う御座います」
そこで電話は切れた。
そして3分足らずでパトカーと救急車のサイレンの音が家の前で鳴り響いた。
やはり来ないというのはおかしい。
秀仁さんが治美さんに何か言ったのか?
警察には言わないでくれ、とか。
しかし、その可能性は低い。
そこで僕は、思考を停止させた。
まあ、今考えても仕方のない事だったし、今考えるべきではない事だった。
でもこれは、賢明な判断とは言えなかったのだ。
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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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