十六話 ページ21
「よし、京。山の頂上まで車で行くか」
12年前の冬。
ストーブを焚き、コタツの電気を付け、蜜柑を食べながらぬくぬくしていた当時6歳の僕は、急な父の提案に首をかしげる。
その頃、妹は2歳。
ついさっき保育園へ送ってきたのだ。
京は小学生だが、その日はたまたま土曜日だった。
どうせ暇だし、別にいいかな。
そう思い、僕は黙って首肯した。
すると父は、待ってましたとばかりに
「それじゃあ今すぐ行くぞ」
と、僕にコートを羽織らせ、車の助手席に乗せた。
その先で、悲劇は起きてしまった。
険しくなっていく山道。
激しくなっていく車の揺れ。
高くなっていく標高。
ガードレールなんて、既になくなっていた。
大丈夫だろうか。
そう思い始めたその時。
「う、わあっ?!」
一瞬の、体が浮く感覚。
下に落ちて行く感覚。
山の崖が、崩れた。
その事実を体で理解しながら、意識が遠のいた。
次に目が覚めたのは、
赤黒い液体で染められた、父のいない車の中でだった。
今回も短めです。
すみません。
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こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - いっつんさん» ありがとうございます!会話はかなり力を入れているので、そう言ってもらえると嬉しいです!これからも頑張らせていただきます! (2020年8月23日 16時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
いっつん(プロフ) - 小説拝見しました! ミステリー小説は犯人の動機やトリックを考えなければならないので大変ですよね……。ちょっと生意気な妹ちゃんと兄くんのやり取りが可愛くて好きです! これからも執筆頑張ってください! (2020年8月23日 15時) (レス) id: 9672a7ee0b (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - あきさん» あーね…読者観点と作者観点ってやっぱかなり違いがあるんだねぇ………(( (2020年7月23日 18時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - えっとね、せいにぃは好青年感するなぁ。神崎さんは好きよ。京は少しナルシストっぽいところが感じられるんだけどそこ好き。妹ちゃんツンデレだよね、遅くなってごめんよー。 (2020年7月23日 18時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ@アホ毛同盟@カオス家族同盟*母(プロフ) - みるくプリンさん» ありがとうございます!!まあ、これからまだ先があるので何とも言えなかったのでしょうが…(笑) (2020年6月28日 20時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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