BETWEEN II (ページ44)

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現在時刻9時半。

無事にお目当てのものは買えた。

会社から二駅離れたところにある百貨店へ向かい、ダンディーなギョンス先輩とキューティーなベッキョンさんをサイドに置くような形で歩いてたからたびたびすれ違う女性に睨まれた。こういうのはセフンと歩くときにもよくあることなので全くの無傷です。

これはどう？これは？と悩む時間もないままベッキョンさんに次々と商品を見せられ、その中であ、これ似合う、とビビッときたものを選んで。

ペイズリー柄が印象的なワインレッドのネクタイと、
ネイビーカラーがベースで白と赤の斜めの線が入ったネクタイ。この二つを購入した。

包装して紙袋に入ったそれを見ると自然と口と目元が緩む。

これはクローゼットに隠そう。

夜ご飯はベッキョンさんにご馳走してもらい、SPのようなお二人にマンション前まで送っていただいた。

『先輩方、今日は本当にありがとうございました』

「いえいえ。セフナ、喜んでくれるといいな」

『はい！』

「よーしいい笑顔だ！じゃ、俺たち帰るね～……あっ、疲れた顔して帰んないとバレちゃうから気を付けなよ」

「Aはお前に振り回されたから十分疲れてるよ」

「それはギョンスが、だろ。A、楽しかったよな？」

『もちろん。すごく楽しかったです』

「ほらねー」

「…帰るよ」

すたすたと背を向けて歩いてしまったギョンス先輩。

やー待ってよ！A、また明日な！と言ってベッキョンさんは慌てて先輩を追いかけにいった。

『ただいまー』

「ヌナおかえりなさい…ってその紙袋どうしたんですか」

『あ、これ？残業した自分のご褒美にと思って』

「へぇ…そうなんですね。なんかメンズものっぽいけど」

ぎくり。

や、やばい。

早速大ピンチ。

言い訳の言葉が全く舞い降りてこなくて、違うよ、って否定することしか出来なかった。しかも小さい声で言ったから余計怪しまれたかも。また何言われるかなって身構えてたけど、それから彼は何も言わずにテレビの方を見て。

…な、なんとか山場は乗り越えたみたい。

足音立てずに急いで寝室のクローゼットに紙袋を隠した。