□ that day ページ37
『そういえばさ』
「…はい」
付き合い始めて約1ヶ月が経ったある日のこと。
ほぼ毎日私の家にいるセフンと過ごす休日。
今日はそんな彼と映画鑑賞。
アクションものを見ながら、前々から気になっていたことをふと思い出した。
壮大な音楽と演出が目の前で繰り広げられているというのに彼は眠そうで。右肩に乗せられた彼の頭を起こすように、肩をくいっと上げてみた。
『セフナが時計くれた日あるじゃん。あれ覚えてる？』
「もちろん覚えてますよ。それがどうかしたんですか」
『あのね、セジョンが言ってたんだけど…なんか、プレゼントにはそれぞれ意味があるって。セフナ知ってて時計くれたのかなー…って思って』
「意味ですか？…知らないですね」
『し、知らないの…？』
「はい」
あれは直感で買いました、と彼は頭を乗せ直してきて。
…おい。キムセジョン。
この人知らないって言ってますけど。
なんだか、心がずーんと沈んでいくような感じがした。
いや、私もね？どうせ意味なんて知らないだろうなーって思ってたけど。でも、もしかしたら…ってほんのちょっと期待はしてた。
セジョンに言われて勝手に舞い上がって。
うわあ、結構恥ずかしいよこれ。
「じゃあどんな意味なのか教えてください。普通に知りたいです」
『えー…』
確か、"あなたと同じ時間を過ごしたい"だったよね。
なんかプロポーズみたいだし、いざ口にするってなると恥ずかしくて。
だんだんと耳に熱が集まってきた。
『…自分で調べてみたら？』
「えー。やだ。教えてってば」
『んっ、…ちょっ、ちょっと』
首に感じたくすぐったさ。
その正体は紛れもなく隣にいるセフンで。
少しずつ位置をずらしながら、軽く唇を当ててくる。
離れようと思っても、最初から分かっていたかのように腰にはしっかりと彼の腕が回されていて。不覚にもキュンときてしまった。…ってだめだめ。
『こら』
手の動きが怪しくなってきたところでべしっと頭を叩くと、雰囲気壊さないでくださいと言って彼は口を尖らせた。
簡単にそっちにはいかせないからね。
『…あれね、あなたと同じ時間を過ごしたい、って意味なんだって。あー恥ずかしい』
そう言うとツンと上を向いていた口はみるみるふにゃりと緩んで。
…ほんと、笑っちゃうほど分かりやすい。
「んふふ、プロポーズみたいですね」
『やっぱりそう思う？すっごい茶化されたよ。セジョンに』
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作者名：mi | 作成日時：2020年1月5日 23時
