BETWEEN II (ページ18)

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「呼び捨て……」

『…はい？』

「今、呼び捨てしましたよね…？」

『そうだけど…え、悪かった？』

心ではオセフン呼び、口ではセフン君呼びだったけど。

呼び捨てされるの嫌だったのかなと思っていると彼から返ってきたのは逆の言葉だった。

「…嬉しい」

『え？』

「嬉しいです！ヌナ、もう一回呼んでください！」

『…セフン』

「くっ…！」

撃たれたようにオーバー気味に胸を押さえ、少し後ろによろめいたオセフン。うそ、そんな衝撃あったの？今まで散々やられてきたから仕返しにと彼の名前を連呼してやると耳まで真っ赤にして背を向けられてしまった。面白いから写真撮ろ。

「…撮ってるの分かってますよ」

『えー？セフニどうしたのー？』

「……」

『ちょっとー、照れてるのー？』

「あーもう！照れてますけど。なんですか」

『び、びっくりした…急にキレないでよ』

「好きな人に名前呼ばれたら誰だって嬉しいんですよ。それがなんだっていうんですか。照れたらいけないんですか」

嬉しいって言われたから呼んでたのになんか怒られてる？私。

「そういう可愛いことをするのはやめて下さい。お願いします」

『…う、うん？』

これ以上心臓に負担はかけたくないのでねと自分に言い聞かせているのだろうか、自身の言葉にうんうんと頷いたオセフンは「さあ、一緒に撮りましょう！」と距離を詰めてくる。なんなんだ、この子。切り替え早い。

ポーズをする間もなくカシャと音がして、多分ブサイクに映っちゃったから撮り直してほしいと頼んでもこれでいいんですと聞く耳持たず。不満な気持ちはあったけど、悪用されないならいいや、そう思って放置。

カメラロールが紫色だらけになるまで写真を撮って満足したあと、そろそろ移動しましょうかと声がかかる。最後に、と名残惜しさにもう一枚撮ったら、一番いいものが撮れた。ふふ、これ待ち受けにしよ。

『ねえ！これすごく良いと思わない？』

「おー、確かにセンスありますね。流石です」

『…本当に思ってる？なんか棒読みなんだけど』

「本当に思ってますよ！それに、僕も良いのが撮れました」

どうぞと言って彼が見せてくれた写真は、ラベンダーを撮っている私の後ろ姿だった。周りにたくさん人は居たはずなのに、私一人だけそこに居るみたいな、そんな一枚。思わず自分でもわぁ…なんて言っちゃったし、彼が私よりセンスがあることは認めざるを得ない。