BETWEEN II (ページ13)

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ずっと握られっぱなしの手。

恋人でもないのに繋いでるからなんかむずむずした。

身体の左側だけ蒸し暑い場所にいるみたいな、そんな感覚だった。

エントランス前まで送ってもらって、中に入りなって言ってくれる先輩の肩を掴んでくるりと向きを変える。

ここまで送ってくれたからもう大丈夫です。
先輩の背中が見えなくなったら入ります。

そう伝えると、はじめは躊躇してた先輩だったけど分かったと言って来た道を戻っていった。

『はぁー……』

先輩の姿が小さくなっていくと熱かった左手はだんだん冷めてきて。ため息も溢れた。

あぁ、握ってたんだなーってさっきのことが急に現実に思えなくなってきて掌を見つめる。

異性の手なんてお父さんくらいしか握ったことないのに。まあそれは幼少期の話だけど。

男の人の手ってあんなゴツゴツしてるんだ…ってじんわり思い出して恥ずかしくなってきた。

「…ちょっと。手繋いで帰ってくるって何事」

急に後ろからかけられた声にドクッと悪い意味で心臓が跳ねる。振り向くと、鼻を真っ赤にさせたオセフンが立っていた。

…本当に待ってたんだこの人。

『それは不可抗力というか……寒いからカイロ代わりって』

「もう。どうして受け入れちゃうんですか？何してるんだって飛び出したかったけど我慢して待ってた僕を褒めて下さい」

理性のまま動いてたら今ごろ修羅場でしたよ、って先輩が歩いていった方をキッと睨んでいる。
まあまあと宥めても彼の口はへの字に曲がる一方。

「…右手」

『何よ、急に』

「いいから出して。……ください」

前にはオセフンの左手。

これは…さっきの先輩の時と同じ展開じゃないか。
これから何されるかなんてすぐ分かっちゃった。

早く、と催促してくるから犬のお手感覚で軽く乗せると。

『なっ！何してんの？！』

予想通り握られてはいるんだけど、先輩の時と明らかに違うのは指がしっかり絡められているということ。オセフンはヘラヘラと鼻の下を伸ばしながら繋がれた手を見せつけてくる。

「僕の方がヌナと一回多く繋いでるし、それにあの人こんな繋ぎ方してないでしょ？…完全に僕の勝ちですね」

これはマウントってやつです。

強調するかのようにぎゅっぎゅっと2回握られる。
参ったな。今度は右側がぐーんとあっつくなって。

…確かに、勝ちかもね。