BETWEEN II (ページ2)

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耳を抓っていた指の力が抜け、頭の中でその言葉が一時的に繰り返される。解放されたオセフンは事故が起きたらどうするんですかとぶつくさ言っているが、今はそれどころじゃない。

『面接って…入社の？』

「はい」

ミラー越しに目が合う。
来年からお世話になりますと三日月の形に変形する目。

まだ結果は分からないので確実じゃないですけどねと言われたけど。

いやいや待って。よりによってなんでうちの会社なの。

『なんで？』

「僕は就活生ですから」

『そんなの分かってるってば。ちゃんと答えないならまた抓るよ』

「マンションに着いてから話すのは駄目ですか？」

『うん。駄目』

車で話すってあんたが言ったのに、ヌナはせっかちなんですねとか言ってきたから遠慮なしにもう一度抓ると案の定痛い痛いと騒いでいる。その後わざとらしく咳をしたので手を離した。

うわぁ…睫毛ながー…なんて関係ないこと思ったり。

「僕は前からあの会社で働きたいと思ってたんです。ヌナがいるからとか関係なしに」

「初めて会社に行った時、ロビーでヌナを見かけました。それでここの社員だって知ったんです。これは偶然なんです、ぐうぜん」

信じてくださいと最後に付け足したオセフン。

…本当に私が理由で入ったわけじゃないんだよね？
めちゃくちゃ怪しいけど。

『ちなみにどこ？』

「広報部です」

『へーそうなんだ』

良かった。同じ部署だったら流石に干からびてた。

「ヌナ違うんですか？」

『私は経理部』

「えー…残念です。じゃあたまに顔出しに行きますね」

来なくていい、いいから。