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【長編】浪漫学園探偵団!理科室の謎 弐 ページ18

一之瀬が立花先生に示すのは、理科室の扉の前、足元に出来た赤い液溜まり。
私の近くに居た篠宮先生が軽く背伸びをしてその様子を見て取ると、
なんだ、とばかり肩を竦めた。

「……ああ、これのこと言うとるんやったら血やないで。
ペンキやペンキ、美術部のやつらがやらかしたらしい」

「え!?でも、昨日まではこんなんじゃなかったですよねっ」

「当たり前や。ぶち撒けよったのは今日の放課後やからな。
――まだ乾いてへんから、気をつけぇや」

篠宮先生がさっとこちらへ目配せをする。
私は反射的に目を逸らし、立花先生の方へと逃げるように視線を向けた。

「そ……それにしても、不穏な話ですね」
「……そうですね。先が思いやられる」
「まあまあまあ、盛り上がってええですやんか。なっ、ちびっこ探偵団?」

“良くない!”と声を合わせて膨れ面をしつつも、旭と華園はそろりそろりと理科室へ入っていく。
不安げに此方を見上げる綾波と皓の瞳には、硬く顰められた私の顔が映っていることだろう。
――彼らの感じているそれとはまた種類が違うが、ある種の恐怖からであるのは違いない。

「ふ、藤原先生、大丈夫ですか……?」
「……。平気だ。人間と比べれば、幽霊なんてどうってことないさ」

ほら私達も行くぞ、と綾波・皓の背中を押す。

「ああ、本当に、先が思いやられる――」

呟いた立花先生の低い声は、おそらく私しか捉えていないだろうと思われた。

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小春(プロフ) - 珈琲さん» 企画主様!閲覧ありがとうございます。(派生作品のご連絡遅れてしまってすみません……!) (2022年8月20日 18時) (レス) id: fb7c2aa482 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲(プロフ) - 描写が素晴らしすぎる…!「その赤は激情か」お気に入りです。 (2022年8月20日 17時) (レス) @page2 id: 3ddce89f00 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小春 | 作成日時:2022年8月11日 21時

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