【長編】答えは温もり 壱 ページ1
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澪さん宅・一之瀬探偵とのうちよそ小説になります。
http://uranai.nosv.org/u.php/novel/miooooooon11/
李代さん宅・山口助手もお名前のみお借りしております。
http://uranai.nosv.org/u.php/novel/navagraha/
謎は解かず、ただ雨の日に何かが起きた後の友人同士の話です。
一之瀬探偵の可哀想な描写が含まれます。
◆
帝都に雨が降る。
夜になって急にはじまった雨は、しかし私の予想に反して通り雨ではないようだった。
さきほど見送った山口助手は無事に家まで帰れただろうか。
ほど近くだと言っていたのが謙遜でないなら良いのだけれど。
窓を打つ幾千の粒がしとやかに部屋の温度を下げていく。
近頃猛暑日が続いたから有り難いといえば有り難いが、
だからといってこうも急に温度が変わっては体調に関わる。
調子が出てきたところだったが仕方ない。
書類の整理から一旦離れ、珈琲でも淹れるか、と椅子から立ち上がった――
――その時だった。か細いノックの音が鳴ったのは。
「…………」
ちら、と壁時計へ目をやる。そろそろ深夜に差し掛かり始める時間帯だ。
こんな時間の訪問客など、碌な相手が思い浮かばない。
頼れる山口助手も帰してしまったところだし、悪漢だったとして私一人でどこまで対抗できるか。
硬い感触のある腰へと片手をやりつつ、半身だけを預けるようにして慎重に扉を押し開ける。
「誰だ。依頼なら明日以降に」
「あ……藤原さん……」
「……司くん？」
よく知る声。たちまち警戒を解き、隙間ほどしか開いていなかった扉を押す。
見れば声の主はやはり友人たる一之瀬探偵であったが、普段と比べて異があるとすれば、
もう全身に渡ってびっしょりと濡れそぼっているその様相であった。思わずぎょっとする。
しかし当の一之瀬探偵は、そんな異常な状態であるにも関わらずへらりと微笑みを湛えていた。
ただしその瞳は、どこまでも吸い込まれるような虚無に満ちていた。
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小春(プロフ) - 珈琲さん» 企画主様！閲覧ありがとうございます。（派生作品のご連絡遅れてしまってすみません……！） (2022年8月20日 18時) (
レス) id: fb7c2aa482 (このIDを非表示/違反報告)
珈琲(プロフ) - 描写が素晴らしすぎる…！「その赤は激情か」お気に入りです。 (2022年8月20日 17時) (レス) @page2 id: 3ddce89f00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小春 | 作成日時：2022年8月11日 21時
