欅坂メモリー

お見立て会 ページ5

Aside

広い。
そして見える、たくさんの人。
とりあえず人。
めっちゃ響いてる歓声。
キラキラしてるペンライト。

…自分がこんなところに立っているなんて思ってもみなかった。

「緊張する……あー…」
『大丈夫だよ、夏鈴なら』
「ねぇ、なんでAは緊張しないの？」
『してるよ(笑)。心臓バックバクだもん』
「嘘付け…もうホント無理…」

今日、12月10日は私達欅坂46の2期生と、けやき坂46の3期生、上村ひなののお見立て会。
はじめて皆さんの前に出るイベント。

『初めまして、中学2年生、14歳の冴木Aです。特技のピアノを披露したいと思います』

自己紹介して、ピアノ弾いて。
とうとう今からミニライブ。
披露する曲は、サイレントマジョリティー、誰よりも高く飛べ、そしてW-KEYAKIZAKAの詩ってきて、最後、アンコールでアンビバレント。

私は、アンビバレントのセンターをさせていただく。

会場にOvertureが流れ始めた。
すごい音。
客席が、緑色のペンライトでいっぱいになる。
綺麗だな…。

踊ってるときは、もう無我夢中だった。
そして、あっという間にアンコール。

アンビバレントのイントロが掛かると、客席がわぁっ！って湧いたのがわかった。

それからのことはよく覚えていない。
だけど、終わったとき、裏でみんなが抱きついてくれて。

多分、あのとき見た景色はずっと忘れない。

お見立て会の最後は握手会。

「すごいセンターかっこよかったです！」
『そうですか？あんまり覚えてなくて(笑)。ありがとうございます』
「これからも頑張ってください！ずっと応援してます！」
『ほんとありがとうございます。また来てください』

握手時間が意外と短くて焦る。
アンビバレントが良かったって言ってくださる方が本当に多くて、正直にすごい嬉しい。

まだ幼稚園くらいの小さい子が、お兄ちゃんと来てくれて。

「こんばんわ！」
『こんばんわ〜。え、何歳ですか？』
「ごしゃい。あのね！すごかった！びっくりした！てちだった！」
『んー？ありがとう。また来てね』
「ばいばい！」

これが一番癒やされたなー。
それで、欅坂46の歌って、こんなたくさんの人の心に届くんだ、って改めて実感した。

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