欅坂メモリー

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冴木(さえき) A


生年月日 2004年5月12日

身長 162センチ

出身 神奈川県
　
特技 ピアノ
　 一度聞いた曲ならすぐ弾ける
　 絶対音感の持ち主

性格 マイペースで自由人



─4年前

お正月に何気なくつけたテレビ。
紅白をやっていて、正直そんなに興味がなくて、チャンネルを変えようとしたとき。


「君は君らしく生きていく自由がある」


そんな言葉が流れてきた。
はっとして前を見ると、ボブの人がすごく強い目をして、画面越しにこっちを見ていた。

すごい。
誰だろう、この人…この人たち。

それが、私と欅坂46の出会い。

ーー

朝6時

スマホを開く。
朝1番にすることってやっぱそれだよね。
スマホ依存症なのかなー、私。

そんなどうでもいいことを考えながら、あくびをすると、メールのところに通知があった。

よく考えずにタップ。

〜・〜・〜・〜

冴木 A様


ニ次審査合格通知

厳正なる審査の結果、最終審査に進んでいただけることが決定いたしました。
最終審査は、SHOWROOM審査で行います。
是非お越しください。

〜・〜・〜・〜


またあくびをしかけていて、口を開いたその状態で体が固まる。

んっ…？
合格？
嘘付け。

そう、私冴木Aは某アイドル…坂道合同オーディションというものを受けていて。
書類審査なるものを通過したらしく、先週、横浜に行って二次審査を受けてきた。

……ちなみに、その時のことは思い出したくもない。


「どうしてこのオーディションを受けようと思ったんですか？」

『んー…欅坂46さんのパフォーマンスにずっと憧れてたからです』

「わかりました…特技はありますか？」

『…ピアノがちょっとだけ弾けます』

「へぇ…ちなみに、どのくらい習っていたのですか？」

『……5…ヶ月です…』

「あー………」

『………はい』

「…では、推しメンは誰ですか？」

『……んー……ちょっと…』

「…そうですか」


で、なんか無言な空気になった地獄の面接。
だって、ピアノとか教えてもらうもんじゃないし。
推しメンとか、考えたこともなかったし。
私コミュ力ないんだよね。
てっきり、落ちたと思ってた。

最終審査は、SHOWROOM審査だとか。
あー…終わった…。
一人きりでしゃべるとか無理に決まってる。
ため息をついてイヤホンをさすと、流れてきたのはサイレントマジョリティー。

「君は君らしく…」

どうせ落ちるのなら。
私も、私らしく──。

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