本丸開拓だよ2 (ページ9)

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54.こんのすけページ9

私が主から理不尽な暴力を受けなかったのには理由がある

それは、私が政府への伝達をしているからだ

この本丸の出来事を隠しておきたい主にとって
外部と密接に連携している私に傷が付いていると己に疑いがかかるのだ

それを避けたい主は私を的にしなかった

主は政府へは赴く私に毎度言ってくる

「聡いお前は、政府へバラせばこの本丸にいる刀剣もお前自身も、どうなるか分かっているね？」
「はい､､､忘れてはおりません。行ってまいります」

そうして、政府へ虚偽の報告をする

それが私の仕事だった

恐怖で支配され、私もこの本丸の刀剣達も、
もう誰にも助けを呼べなかった

私だけが殴られず、蹴られず、斬りつけられもしない

みな、ボロボロなのに､､､

私だけが

本丸にいても私に見向きもしない刀剣男士が出てきた
当たり前だろう

私だけが受けていないのだ

あの地獄のような仕置きを

加えて、己の保身に走り政府へ本当のことを報告していないのだから

もう、どうすればいいのか分からない

罪悪感に苛まれ、身は綺麗なまま心だけが死んでいく感覚がした

『ありがとね』

『助かったよ』

何故、私に労いの言葉をかけて下さるのだろう

今の私にその様な言葉を受け取る資格は無いと言うのに

この方のかけて下さる言葉に温かみがあるからだろうか

死に絶えていた心がまた息を吹き返して、自然と涙が出てきてしまった

これまでにこの本丸へ来た審神者は、皆言葉など交わす前に消えて行った
共に食事をとるなど想像すらしてなかった

この方なら救って下さるかもしれない
そう、頭をよぎった

助けてくれるかもしれない
この本丸を

本丸と同じように荒んでしまった私達の心も

ならば私も、もう一度、すれ違ってしまった彼らと共に歩みたいのです

だから、私は貴方に託します

この本丸の未来を

早くお目覚め下さい

あるじさま