74.交渉 ページ29
この意向に沿うならば私はすぐに政府へ戻される
しかし、ここへ来た初日に手入れを全員するという彼らとの約束もある。投げ出しては行けない
先延ばしに出来るか交渉してみようと考えた
(政府も引き継ぐ審神者もすぐに使える本丸の方が都合がいいだろうし。多少の猶予期間は許してもらえるはず)
ｰｰｰ
まだ手入れの済んでいない方々がおりますので、そちらを済ませてから引き継ぎを致します。途中で投げ出してしまっては彼らの反感を買いますので、何卒お願い致します
ｰｰｰ
それに対して返信が来ないので了解したのだろう
これで、私の審神者である時間は手入れ完了までに伸びた
ほっと一息つくものの、心の中はモヤッと政府への疑問やら呆れやらが残っている
(にしても、審神者である私不在で勝手に決まった引き継ぎには、まだ納得出来ていないんだけど､､､あのブラック上司め､､､始めから引き継ぎさせる気なかったんじゃ､､､？)
引き継ぎをした際に、本丸についての資料は渡されても先代の審神者の情報は何も貰わなかった
もしかしたら、一時的な引き継ぎをさせる私には必要ないと思って渡さなかったのかもしれない
仕方なく、手入れが完了した後の引き継ぎについてや後任の審神者について考えていると
「審神者殿はいるか？」
離れの外から声が聞こえる
それに気づき頭を切り替え、入口へ向かう
扉を開けると一人の刀剣男士が見えた
私の背丈と差がありすぎて空を見上げてるみたいになる
佇まいから気迫を感じ、押され気味に声をかけた
『ど、どうも､､、』
「おお。すまんな。小さすぎて気づかなんだわ」
人当たり良さそうな笑顔を向けられる
ふっと笑った刀剣男士の顔からギザギザの歯がのぞいていた
勝手に怖い人を予想していたために、いい意味で予想を裏切ってきたその人を中に招き、離れで話すことになった
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作者名：とり丸 | 作成日時：2020年5月13日 20時
