本丸開拓だよ2 (ページ15)

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60.記憶ページ15

「」
『なにそれ？』
「──」
『──』
「──」
『私に作ったの？』
「──」
『寒がりではないけど､､､
　平熱が低いだけで──』
「──」
『無理やりだなぁ、でも、嬉しい』
「──」
『大切にするね。ありがとう、ーー、』
「──」

ｰｰｰ

目を開けた瞬間、視界がぼやけている
徐々に焦点が定まり見たことある天井が見える

いつも寝起きしている離れだ
障子を閉めているため、太陽の光を和らげて部屋が明るく、しんと静まり返っている
首だけ右を向けるとこんのすけが丸まって眠っていた

まだ頭が働かず、何故ここにいるのか、朝なのか昼なのか分からない

『､､､ぁ』

自分の声も何故か掠れているし、何だが久しぶりに声を出した気がする

だんだん意識がハッキリとした後、自分の中で最後の記憶を辿る
手入れ後にここまで来た時の記憶が自分の中にはまるっきりない

(どうやってここまで来たっけ？)

疑問に思いながら、体を起こそうとし両手に力を入れる

『っ！』

すぐに激痛が走った。そのまままた仰向けになり、痛みが引くのを待つ
そのお陰かすっかり目が覚めた

(ああ、そうだ。蔵の結界を解いた時に､､､)

「主様？」

微かな音にもこんのすけが目を覚まし声をかけられた
目が合うとこんのすけは泣きそうな顔をしていて、直ぐに立ち上がり2.3歩助走をつけてから飛んできた

(あ､､､)

こんのすけが飛んだ瞬間に世界がスローモーションのように遅くなる

(その移動速度とジャンプ力だと､､､)

体は動かないのに頭はフル回転してこんのすけの飛距離を計算していく
その間にも徐々に私の視界はこんのすけのお腹がドアップに迫ってくる

着地地点が私の顔面だと悟り、手でキャッチしようとしたが、間に合わず顔面でこんのすけを受け止める

「あるじさまぁー！」
『､､､こふふけ､､､』

モフモフの毛玉が上に乗ってるので当然喋れない
段々と息がしずらくなってくる

(息が､､､)

過度の疲労から倒れたのに起きた瞬間からトドメを刺されているのかと錯覚する
退いてもらおうと右手でこんのすけの背中を軽く叩くも、慰めととられてしまったのか顔面の上でずっと泣いている

(死因が狐の皮で窒息死なのか､､､)