12.食事1 ページ13
本丸はかなり古びており掃除が必要だが炊事場は誰かが使っているらしい。食器にはホコリひとつなく綺麗に整頓されている。
『何か手早く食べられるものないかなー、、、お、』
探しているとじゃがいもが出てきた。
丁度いい。鍋を借りて水をはり、その中にじゃがいもを入れる。
沸騰してじゃがいもに火が通るまで暇なので、炊事場の食料、食器、調味料等見て回る。
調味料は種類ごとに別れており、野菜はそれぞれ適切な保存方法をし日持ちするようになっている。
(料理好きな人がいるのかな)
そう思っていると、廊下から足音がする。
炊事場に向かってきている。
どうしようか、昨日広間にいた方ならなんとか温厚に済ませられそうな気もするがそうじゃない時が問題だ。
(ここには逃げ場がない。隠れるか。いや、じゃがいも煮てるしすぐにバレる。じゃがいも持ってすぐ出ていくしかない。そうしよう)
鍋からあつあつのじゃがいもをとり、鍋を片付ける。そうこうしているうちに、こちらに近づいてくる足音は大きくなってくる。
話し声が聞こえる。
「そっか、なら短刀達は良くなったんだね、良かった、、、」
「一期が元気な弟達みて喜んでたな、あいつも手入れしてもらえればいいんだが、、、。お!噂をすれば、だ!」
昨日会った鶴丸さんと隣には隻眼の刀剣男士がいる。
「君も朝餉の準備か!そのまま食べるのかい?それ」
『おはようございます。ええ、手っ取り早く済ませようと思いまして』
私は手に持っているじゃがいもをもって炊事場を後にしようとしたが、目の前に手入れが必要な方がいるため声をかけてみる。
『こちらの方は、、、燭台切光忠さんですか?』
「君が新しい審神者か。昨日のことは聞いてるよ、鶴さんや他の子達の手入れもありがとう」
私の問いにも落ち着いて答えてくれる、
(良かった、、、。斬り捨てられることはなさそう、、、)
『あの、もし良ければ手入れをさせて頂けませんか?すぐに終わらせますので、朝餉の準備には支障ないと思いますので、、、』
「それはありがたいね、お願いしてもいいかな」
『ありがとうございます』
そしてテーブルにじゃがいもを置き、柏手を打つ。
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作者名:とり丸 | 作成日時:2020年4月29日 22時