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「先ベッド入ってて」
そう言って入野さんは明日のお仕事の準備だろうか、再度リビングの方へ消えて行った。
そう言われても、右に寄ればいいか左に寄ればいいか、座って待ってればいいのかもう寝転んでいていいのか、全然分からない。
真っ暗な部屋だが段々目が慣れてきて、既に見慣れた家具の形がはっきり認識できるようになってきた。
悩みながらもベッドに腰掛け、どうしたものかと思考を巡らせ始めたその瞬間。
一瞬部屋が真っ白に染まるほどの光が窓から入ってきて、その直後には先程入野さんといるときに聞いた雷鳴よりも大きな音が鼓膜を貫いたように響いた。
「ひぇっ・・・!」
怖い、入野さん!怖い!
もう迷いなくベッドに潜り込み、何も考えずに掛け布団を頭からかぶる。
ゴロゴロ・・・と引き続き唸り声を上げている雷に涙目になって小刻みに震えながら入野さんを待つ。
もう少し、もう少しと考えていたところでまた雷が落ちたような音がした。
先程よりは遠のいたようだ。
「うぅ・・・入野、さん・・・!」
いつからこんなに雷が嫌いだったのか。
忘れてしまったが、とうとう私の目からは涙が零れた。
涙を拭おうと動かした手は、いつの間にか部屋に入ってきていた入野さんに布団越しに掴まれてしまった。
「ごめん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない、です・・・」
「あーあ、泣いちゃったか」
困ったように笑った入野さんは、座ったままの体勢で手を左右に広げて「おいで」と優しい声で言った。
外ではまだ雷が鳴り続いているというのにその声に安心感を覚えて、涙を止めることが出来ずにそのまま入野さんに抱きついた。
「怖かったね」とまるで子供をあやすように私の背中を撫でて、もう片方の手は袖で私の涙を拭ってくれる。
優しい手つきに、私はそのまま意識を手放してしまっていた。
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真桜(プロフ) - 莉兎さん» いえ…!!ラジオは入野さんの素が出ますもんね笑 入野自由cv.入野自由って結構きます笑 毎回読む度に心拍数が凄くて…笑 本当に大好きでお気に入りの作品です!!勿論です!応援してます! (2019年6月2日 21時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - 真桜さん» コメントありがとうございます。実はそれを1番意識して書いているのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!ラジオの聞きすぎでしょうか、脳内で自動再生されたCV入野自由を頼りに執筆しております(笑)これからもご愛読、ならびに応援よろしくお願い致します!! (2019年5月26日 20時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
真桜(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます…!!私の勝手な偏見なんですけど、入野さんこういう口調っぽそうだなーとか、こういう行動しそうだなーって思って本当に凄いなぁって思います!毎日更新楽しみにしてて…お受験でお忙しいと思いますが、受験合格応援してます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 18be0f9570 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 莉兎さん» ありがとうございます。いつか機会があればお願いします。 (2019年5月26日 17時) (レス) id: 41b914f6ac (このIDを非表示/違反報告)
莉兎(プロフ) - りささん» 謝ることないですよ(・・;)お気になさらないでください、、! (2019年5月26日 16時) (レス) id: ba3d0050a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月22日 0時