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次の日も、その次の日も、授業は全く頭に入ってこない。
もちろん頭は結局洗ったけど、感覚が取れない。
そもそも、男の人にああやって撫でられる?のも初めてだったし、しかも仮にもそれが好きな人だし、頭から離れるわけもなかった。
それでも日が経つにつれて段々と落ち着きを取り戻し、なんとか授業を普通に受けられるくらいには戻っていた。
そして数週間経ったある日。
たまたまこの間の渋谷のときと同じ服装で、桜子という友達と下北沢に遊びに行く予定だった日のこと。
桜子とは家が反対方向だったので、現地で待ち合わせをすることになっていた。
しかし時間になってもその子は現れず、どうしたものかと頭を悩ませていると、
桜子ごめん!今日行けなくなった!
・・・はー???もっと早く言いなさいよ!遅い!
これからどうしろってのよ!
リアルにため息をつく。
下北沢って、一人で遊べるようなところなんかあったっけ・・・?
古着屋さんなら一人でも大丈夫かな・・・。
なんてことを考えながら、携帯で古着屋さんを調べていると。
ずっと近くに停まっていた車から、男の人が出てきて、私の隣に立った。
「ねえ、きみ、ずっとそこにいるよね?彼氏にドタキャンでもされた?一緒に遊ぼうよ」
「・・・遊ばないです、お引き取り下さい。」
「ちょこっとでいいから!ね!」
ナンパする人って、本当に誰でもいいんだな。
もっと顔がいい人を選べばいいのに。
呑気に考えていたら腕を掴まれて、車に連れて行かれそうになる。
あ、まずい。車になんか乗せられてしまったらもう終わりだ。
「離してください!人を呼びますよ!」
平日の昼ということもあってか、この通りには人がほとんど通っていない。
どうしよう、誰か、誰か・・・!
「あのすいません!その子俺の連れなんで、離してもらえます?」
「へ、」
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月2日 16時