040 Side : M.I ページ41
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危なかった。
手を出す気がないのは本当だ。
法に触れるというのはもちろん、まだなんの覚悟もできていないAと行為に至るのは俺だって良い気はしない。
しかし、
上気して真っ赤になった頬。
息苦しいのか羞恥心からか、涙を溜めた瞳。
時折唇から漏れ出す吐息と声。
どれをとっても、大人の色気を帯びていた。
そりゃそうだ。19歳。大人とさほど変わらないのだから。
家に帰ってきてAが俺のベッドで寝ていたのにも驚いたのは驚いたが、
「入野さんに、もっと、触れたくて」
真っ赤になりながら必死に伝えるAの姿が脳内でフラッシュバックする。
どちらかというとこっちのほうが俺には効いた。
思い出しただけで赤面しそうだ。
もちろん、触れたいと思ってくれていたのはなんとなくわかっていたし、嬉しいと思う。
ただし、一線を引かなければならないというのは事実で。
あと数ヶ月。その前に、まずAのお母さんに許してもらえるかもわからない。
まあそれに関しては、最悪、二十歳を超えてからなら駆け落ちしても良いかとも思うが。
我慢するのは俺なんだ。
Aに、心配も迷惑もかけるわけにはいかない。
Aの準備を待つ車の中で、一人、小さく決意を固めたのであった。
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月2日 16時