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意識がはっきりしない中に、入野さんの姿が見えた。
声をかけようとしたが、誰かを待っていたようで。
やがて入野さんが、右を向いて手を振ると、その方向からは全く見知らぬ女性が駆けてきた。
その途端、ヒールを履いていた女性は足をもつれさせ、転倒しそうになってしまう。
入野さんは、転倒しそうになった女性を抱き抱えて笑った。
そして、そのまま「会いたかった」と一言囁くと、女性とキスを交わし_______
「やだっ、入野さん・・・!」
「・・・俺が、何?」
一気に目が冴えた。どうやら先ほどのは夢であったようだ。
・入野さんの部屋にいる私
・入野さんの布団で寝ていた私
・「やだ、入野さん!」と叫び目を覚ました私
さあ、どう説明すべきか。
というよりその前に、
「お、おかえりなさい・・・」
「あれ?おかえりのキスはしてくれないんだ」
「っ、か、勘弁してください・・・」
私の寝ているすぐ横に寝そべって頬杖をついている入野さんは、「冗談だよ」と言って笑う。
「あ、あの、勝手に部屋に入って、勝手に寝ちゃって、ごめんなさい」
「あー、いいよ、別に。どうせ昨日あんまり寝れなかったんでしょ?」
はい、と答えると「それより、Aどんな夢みてたの?」と言い、入野さんは少し意地悪な顔をする。
どんな夢を見ていたと思っていたのだろうか、「入野さんが浮気している夢でした」と簡潔に述べると、少し驚いたような表情になった。
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作者名:莉兎 | 作成日時:2019年4月2日 16時