【第五人格】綿遊び【短編】 (ページ5)

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少し前からウッズさんに他の女の人がダブって見えることがある。それは決まってゲーム中。最初はうっすらノイズが走るような感じで自身が疲れているのかと思ったが、段々とその影はハッキリとしていき今ではぼんやりとだがその女性の顔や表情がわかるようになってきた。
ウッズさん本人にそれとなくその女性について聞いてみたが自覚はなく、他の人(と言っても話し掛けられるのは限られているが)に聞いてみてもそんな女性は見えないとのこと。どうやら彼女が見えるのは自分だけのようだった。
気付けば彼女のことばかり考えていて頭から離れない。彼女は誰なのか、何故ウッズさんにだけダブって見えるのか、どうして僕だけに見えるのか。ああ、ああ彼女のことが知りたい。

「イソップ君、大丈夫なの？最近疲れてそうなの」

「ひっ、あ、あの、だだ大丈夫、です」

「本当に？何かあったらすぐ言ってほしいの」

心配そうなウッズさんに被る彼女も心配そうにこちらを見ている。ああ彼女が僕のことを心配してくれている、嬉しい。きっと彼女は何処かで生きていてウッズさんを通して僕を、僕だけを見ているのだ、だから僕だけに見えているに違いない。
バクバクと心臓が脈を打つ、これを恋だと言うのなら僕にはそれを叶える権利がある。もう少し、もう少しで全て見える、あとちょっと。

＊

段々とゲームにも慣れてきて、エマ・ウッズという女性の背景に何があったのかもわかってきた。彼女が壮絶な人生を送っているように、先生が推理した人物もなかなかに過酷な人生を送っているようだった。
そんな中、一つ……いや一人気になる人物がいる、イソップ・カールという青年だ。彼は納棺師であり、所謂サバイバーと呼ばれる陣営の一人で死者蘇生といったような能力を持つ。様々な能力を持つ点は他のサバイバーと変わりはないが、気になるのはそこではない。
彼が、こちらをじっと見つめているような気がするのだ。最初は気のせいかと思ったしエマ・ウッズを見ているだけだと思ったが最近は確信をもって言える、彼は私を見ている。
これは過去のことだし絶対有り得ないと思ったが事実だとしか思えないのだ。こちらを見て微かだが微笑む姿に少し寒気を感じ目を逸らした。けれどそれを先生にも言えるはずがなく私はエマ・ウッズとして何度もゲームへと潜っていくしかなかった。