探鉱者 ページ16
ガラガラと崩れ去った岩の先に彼女がいた気がした。手を伸ばしたがそれは届かず、瓦礫へと彼女も俺も埋もれてしまって、目の前が、真っ暗に、
「っはぁ、はぁ、っは……」
目が覚めても真っ暗なのは変わりなかった。違うのはここがベットの上で瓦礫は一欠片も無いことと、彼女なんて最初から居ないことだけだった。
最近は夢見がとことん悪い、週に3回以上は同じ様な夢を見る。……他の日は疲れ果てて夢を見れないだけなのだが。
この夢を見た後は必ずAに会いたくなって、深夜だから迷惑だろうと割り切ってまた怯えながらも眠りへと戻っていく。ガタガタと震える手で彼女との写真立てを抱いて寝るのだ。
けれど、それも限界が来たようで、だらだらと流れる冷や汗は止まらずに朝日に照らされとうとうその後一睡もできなかった。
「ノートン君、大丈夫……？」
「……え？あ、うん大丈夫だよ」
ぼーっと味のしない朝食を食べていると隣にあれほど会いたかったAがいた。彼女から話し掛けてもらえるなんて今日はいい日だ、なんて思ってれば急に世界が真っ白になって驚きの声を上げればそれはくぐもった声になって自分の耳に返ってきた。
すぐにAの心配そうな顔と少しコーンスープの付いたハンカチが見える。
「口の回りスープだらけ、またぼーっとして食べてたんでしょ」
「ああ、ごめん」
「……またよく眠れなかったの？」
「ううん、そんなことないよ。ありがとう」
当たり障りなく笑えばベチンッと彼女からのデコピンを食らって、
目覚めたときには彼女はおらず、一人解読機の前だった。ああ、夢か。ゲーム中にうたた寝をしてしまうなんて、やっぱり眠れなかったせいだろう。しんどいなと思いつつ、ピーピーやらガチャガチャやらうるさい音をひたすらに奏でるそれに手を伸ばして暗号の解読を始める。
脱落者はいまだ無し、メンバーはA、ナワーブ、トレイシー、俺。ナワーブと俺がハンターを引き付けつつ残り二人に解読を頑張ってもらう形になるだろうな。ただそれをあちらも分かっているから多分トレイシーから狙ってくるだろう、その次はA、そして俺、ナワーブ。
まだハンターの正体もわからないままだ、とりあえず写真家や道化師ではないことはわかっているがそれでも絞れない。流れる汗を拭きつつも目の前の機械と対決する。
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作者名：かたまり | 作成日時：2019年8月12日 2時
