【第五人格】綿遊び【短編】 (ページ14)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:25,067 hit

納棺師ページ14

※黄バラの骸装備

かの師は愛しい彼女には黄色い薔薇がよく似合うと言っていた。その当時はただ単に彼女には黄色という明るい色が似合い、笑顔が薔薇の様に可憐だからだと勝手に解釈していた。
かくいう自分も彼女は憧れを(恋慕ではなかったが)向けていたし、彼女が納棺された時も死体だとは思えないほどそれは美しかった。

「解読に集中して！！」

脱落者は現在一人。救助で既にボロボロの彼女は僕の手当てで回復するや否やチェアへと縛られた仲間の元へと走っていく。
相手は白黒無常。死を彩る自分が死体に追いかけ回されるとはなんとも可笑しな話だが、ここにいるのはサバイバー含めて大体が化け物だ、今更気に止めることはない。その自分だって擬似的ではあるが死者を生き返らせているのだ。

『ゲートは任せた！私が助ける！』

なんて連絡まで飛んできたもんだからゲートの端に黄色の薔薇が咲き誇る棺桶を造り上げ、彼女を丁寧に描いていく。箱の中で眠る彼女の顔をひとつ撫でて、せっせと集めた暗号をゲートに入力していけば程なくして彼女から庭師救出の連絡が届いた。
『ゲートが開いた！』と連絡を送れば彼女が走っていった方向から庭師がバタバタと走ってくる姿が見える。

「Aちゃんが、っはぁ、代わりにハンター、と！」

「わ、わかりました、から、その、早く逃げて」

一瞬えっという顔をしたがゲート隅の棺桶を見た瞬間納得したように「ありがとうなの！」とゲートの先へと走り去っていった。が、その瞬間彼女がチェアへと座らされた連絡が飛び込む。
まぁどちらにせよ僕らの勝ちは確定したようなものだと安堵のため息をついた瞬間、ビッと視界に赤黒いノイズ。やばい、瞬間移動。
安心しきっていたのもあって隠れるのが遅れてしまった、あっという間に目の前には見たくもない白の御下げが揺れる。
逃げなければ、とワンテンポ遅れて走り出そうとすれば「ちょっと」と声が掛かり思わずその足を止めてしまった。

「もう追いかける気はないので安心してください」

「、はぁ？」