報告 ページ24
『うん！Aだよ！』とアイツの面影のある、太陽のような笑顔で言うこの女。
ああ、確かにAだよい。と段々納得していった。
その瞬間、急に緊張が解けたのだろうか、長い溜息を一つ落としてAに抱き着く。
「よかった、よかったよい。」
『んふふっ、くすぐったーい』
こぼれたその言葉はどちらに対してだろうか。
おそらく両方だ。……本当によかった。
俺はAに抱き着いたまま、一気に緊張と恐怖が抜き取られたように解かれて、脱力していた。
全く、俺がどれだけ心配して、久しく感じなかった恐怖を
これほどかというほど感じて探し回っていたというのに
腕の中に居るAはにへにへと笑っている。
横目でエースを見やると、いつもの無邪気な笑顔が俺とかちあう。
「で、どこに居たんだ？それにこの成長。急な成長期だなんて、無理な話だ。一体全体何が起こってたんだよい」
悪魔の実の能力か何かか？とも思いながら、エースをじっと見つめた。
「あー……それァオヤジんところで言う」
Aの頭を優しく撫でると、エースは席を立った。
店の奥から戻ってきた店主にお勘定を頼み、
Aの姿を他人に見られないよう少し遠回りになる道を渡って船に戻る。
俺たちを見つけ、「おかえりなさい」と言う弟たちの挨拶はどれも最後まではっきりと言うものは居なかった。
この船のどの部屋よりも立派な分厚い壁の向こうで、オヤジの気配を感じた。
「オヤジ、俺よい。Aについて話が……」
そう言えば、しばらくして入室許可が下りた。多少重たいその扉を押して中に入れば
広々とした船長室の隅のベッドで酒を煽るオヤジを見つけた。
目が合ったと思えば、隣の女を疑うように眼を細め、オヤジは「アァ……」と口を開いた。
「オメェ、Aか」
『え？……パパ、分かるの？』
「あたりメェだろ」
ニタリと笑ったオヤジにキャーと声を上げて抱き着いたのは言うまでもない。
オヤジも流石だ。
「んで、これァどういうことだ」
目を細めたオヤジに顔向けできず、口を濁しているとエースが前へ出て話しだした。
「町の外れで歩いてたら、Aのバッグが裏路地に続く道の前に落ちてたんだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
椿姫 - 選択のところで隊長12人になっていますが、16人ではないでしょうか。楽しく見させてもらってます！ (2020年3月11日 15時) (
レス) id: d5fa7d04a9 (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください！更新待ってます！ (2019年1月12日 10時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
おらんうーたん@妄想族(プロフ) - 「海」の後半が名前変更が上手くされていない気がするのですが？ (2018年7月21日 20時) (レス) id: 00ba4385d4 (このIDを非表示/違反報告)
動物大好き - 更新頑張ってください!!!! 楽しみにしてます (2018年7月14日 18時) (レス) id: c75e63e926 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 面白いです!! 更新頑張ってください! (2018年6月24日 17時) (レス) id: 2cba6cf68d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：錦戸。 | 作成日時：2018年6月17日 22時
