ハイビスカス ページ15
「ほらよ」
船に戻った俺とA。Aにはお昼寝だとイゾウに預け、俺は右手に持つ紅い夕日のハイビスカスと、白と桃色が混じった貝をエースの元へと届けた。
ピクリと反応したエースは腕の隙間から顔を出した。なんだよ。っていう顔だ。
語りに語りまくった後だ、また何か言いに来たんだろうと思っているんだろう。
それとも、只警戒をしているだけなのか。そんな顔色はお構いなしに、足元に花と貝を崩さないよう、そっと置いた。
「天使からの贈りもんだ」
「あ？天使？」
エースはその2つを初めこそ凝視したが、気づけば彼は、ハイビスカスを手に取っていた。
ただでさえコイツはメラメラの実を食っていて赤いというのに、それを見つめるエースの目は、夕暮れの赤と橙がマーブル状にうつっていた。どこまでもあかい奴だな。
とそんなことを思っていたとき、どこからか腹の虫が鳴いた音が耳に入る。
＿＿そろそろ夕飯だな
と気づき、エースにはじゃあな。と一言落として、俺は駆け足で食堂に向かった。
「どっか懐かしいな……この花」
そんなエースのつぶやきは、耳には入らなかった。
＿＿＿「A。オメェ、エースをどう思う？」
食堂で、隣で夕食をとっていた親父が言った。そろそろ、本格的に入れるのだろう。
頬杖をついて俺はちらりとAをみやった。
『えー、す……？ん〜？』
「グラララララ。あの甲板の隅にいやがるボロ雑巾みてぇな男のことだ」
『あ〜！あのひと！……Aねー、あの人すき！』
＿＿＿＿??!!!
食堂に音はない。あるとすれば、コバエの、羽がこすれる音ぐらいだろう。
小さく、誰かの煙草の灰が落ちた音がした。目をかっぴらく俺たちの中、親父がその空気を裂いた。
「グラララララ！そうか！じゃあ、心配いらねぇな」
『しんぱい？パパ、えーすがしんぱい、なの？』
「アァ。A、エースをサポートしてやんなァ」
『うん！いいよ！』
スプーンを片手に、白い歯を見せて笑う妹は、それはそれは嬉しそうだった。
口の端についた食べ滓を親父が指で拭ってやると、また笑顔になる。
向かいのマルコにこの幸せがわかるだろうか。いや、既に感じていたようだ。
「微笑ましいよい」
「だな。なぁ、マルコ。Aって、ハイビスカスとか、似合いそうじゃね」
「ハイビスカス、か？……だな。あの笑顔とハイビスカス、最高だねい」
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椿姫 - 選択のところで隊長12人になっていますが、16人ではないでしょうか。楽しく見させてもらってます！ (2020年3月11日 15時) (
レス) id: d5fa7d04a9 (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください！更新待ってます！ (2019年1月12日 10時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
おらんうーたん@妄想族(プロフ) - 「海」の後半が名前変更が上手くされていない気がするのですが？ (2018年7月21日 20時) (レス) id: 00ba4385d4 (このIDを非表示/違反報告)
動物大好き - 更新頑張ってください!!!! 楽しみにしてます (2018年7月14日 18時) (レス) id: c75e63e926 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 面白いです!! 更新頑張ってください! (2018年6月24日 17時) (レス) id: 2cba6cf68d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦戸。 | 作成日時：2018年6月17日 22時
