切り傷 ページ13
「あ゛ッッ!!!」
と食堂で男の大声が響いた。
それと同時に、重い鉛が落ちた様な音が鳴り、Aはビクリと跳ね上がる。
「A!!大丈夫かお前！」
『……いた、ぃ……』
「あークソッ！深く切れてやがる」
『っぁ、いた……いたああああいいいい！』
あのドーナツを作ってから、Aは料理をしたいと毎日のようにここへやってくるようになった。
サッチも「可愛い妹はいい嫁になりそうだぜ」とか言いながら、親父に話を通し許可をもらい、
ここ最近は週1というルールでコック一人以上が必ずついて何かを作っていたのだが。
Aが包丁を使い、ニンジンを切っていた時のこと、コックがちょっと目を離したすきに、指を深く切ってしまった。
コックはすぐに水で血を流すが止まらない。
痛い痛いとAは泣き叫ぶばかりである。
「タオル巻いたから、大丈夫だ。A、医務室行くぞ」
『うぇっ……う、う゛ん……ぃた…うう〜〜』
Aを抱きかかえて医務室まで走るコック、すれ違うクルーは彼らを見て
顔色を変えていた。
「マルコ隊長!!Aが！！！」
「Aがどうした……。ッ!!そこ座らせろ、止血はできてるのか」
「わ、わからなくて……俺、タオルは一応きつく」
「まあ落ち着けよい。A、みせてみろよい」
弱々しく差し出された左手。まかれたタオルをそっと外すと、3本の指先からは血があふれ
止血は全くと言っていいほどされていない。
とりあえずマルコはAの指を胸より高く上げ、持ってきた清潔なタオルをピンポイントに当て、強く圧迫する。顔をゆがめたAだが、傷の痛みが薄れてもう泣いてはいなかった。
「A、そのまま手だしてな」
『……ん』
Aの手にかざされたマルコの手から、青く炎が出る。
「わぁ」と声を漏らしたAに口角が上がったマルコ。
そしてマルコがその手をよかせば、Aの傷はきれいさっぱり、なくなった。
『ありがと、マルコ！すごいね！まほうみたいー！』
「ありがとうございます、マルコ隊長」
「後で話はきく……にしても、ははっ。A、これは魔法じゃねぇよい」
『ちがう？なんで？！Aにもできる？！』
「できない……けど悪魔の実っていう不味いモンを食っちまったら、できるようになる」
『マズイのー？でもAもなりたい！マルコみたいに!』
「やめとけやめとけ、海に入れなくなるからな」
『えー……うみであそべないなんて、いやー』
船医のマルコとコックのクルーは、切ったことを忘れて楽しく話をしてくるAを見て、安心していた。
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椿姫 - 選択のところで隊長12人になっていますが、16人ではないでしょうか。楽しく見させてもらってます！ (2020年3月11日 15時) (
レス) id: d5fa7d04a9 (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください！更新待ってます！ (2019年1月12日 10時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
おらんうーたん@妄想族(プロフ) - 「海」の後半が名前変更が上手くされていない気がするのですが？ (2018年7月21日 20時) (レス) id: 00ba4385d4 (このIDを非表示/違反報告)
動物大好き - 更新頑張ってください!!!! 楽しみにしてます (2018年7月14日 18時) (レス) id: c75e63e926 (このIDを非表示/違反報告)
琥珀 - 面白いです!! 更新頑張ってください! (2018年6月24日 17時) (レス) id: 2cba6cf68d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦戸。 | 作成日時：2018年6月17日 22時
