きゅー ページ9
･
職員室に入ると、重々しく先生が口を開いた。
先｢藍沢さん、ご主人を亡くされたと書類で拝見致しました･･･｣
『はい、3年前に職場で事故にあって･･･』
先｢そうでしたか･･･｣
『あの、それとなんの関係が･･･？』
先｢今日、工作の時間に家族の絵を書いたんです。家族のみんなの絵を描いて、渡そうって言って。｣
嫌な予感しかしない。
先｢それで、遥輝くん、お母さんと遥輝くんが手を繋いでいる絵を描いてたんですけど、お友だちが･･･｣
'' はるきって、なんでパパいないの? ''
その瞬間、鈍器で頭を殴られたような衝撃が走った
先｢遥輝くん、わんわん泣いちゃって･･･今日1日元気がなかったんです。｣
先｢本当に申し訳ございません、私たちが見てたにも関わらず。｣
『いえ･･･大丈夫です。子どもが言ったことだし･･･遥輝とは家で話をしてみます。』
先｢あの、これ。遥輝くんが描いた絵です。泣きながら、〈ぼくはママがだいすきっ、パパはいないけど、しあわせだから。〉って言って描いてました･･･｣
遥輝が描いた絵を見て、涙が自然と出てきた。
涙も止まり、先生と話し終えた私は職員室を出て、明るい顔を作った。
『はる、帰ろっか！お腹すいたでしょ？』
遥｢･･･。(ｺｸｯ)｣
『先生、ありがとうございました。』
｢お邪魔してすみません。失礼します。｣
先｢いえ･･･遥輝くん、また明日ね。｣
駅に行くまでも、電車でも、遥輝は侑くんにベッタリでずっと抱っこされてた。
『はるー、スタバは？行こっか？』
遥｢･･･いかないっ。｣
『そっか。じゃあまた今度来ようね。』
遥｢･･･。｣
侑くんは異変を感じ取ってくれて、何も言わずに遥輝の背中をさすってくれていた。
《これ、遥輝くんが描いた絵です。》
遥輝が描いてくれた、笑顔で手を繋ぐ私と遥輝の絵を思い出して、静かに涙を零した。
せめて、遥輝には気づかれないように。
｢！？｣
侑くんは気づいちゃったけど、ゴツゴツとした指で涙を拭き取ってくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらもち - なんですか！天才ですか！宮くん最高です！ (2020年4月29日 17時) (
レス) id: c2e5a10dd5 (このIDを非表示/違反報告)
Rain(プロフ) - ももたんの桃拾いさん» ありがとうございます！新作もあるのでよかったらこれからもよろしくお願いします！ (2020年4月28日 16時) (レス) id: afe3d2a328 (このIDを非表示/違反報告)
ももたんの桃拾い(プロフ) - むっちゃ感動しました！ティッシュ片手に持ちながら読ませてもらいました！これからも応援してます！ (2020年4月27日 12時) (レス) id: 08a613338a (このIDを非表示/違反報告)
Rain(プロフ) - いちごアメさん» えぇ、感動してくださる人がいるなんて…ありがとうございます！ (2020年4月26日 12時) (レス) id: afe3d2a328 (このIDを非表示/違反報告)
いちごアメ(プロフ) - こんにちは！すごく泣きながら見させていただきました！！！持つ涙無しでは読めないです(笑)泣きすぎて目が痛いぐらいです(笑)応援してます！小説頑張ってください！！！ (2020年4月26日 4時) (レス) id: 067b8772b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Rain | 作成日時：2020年4月19日 13時
