続き ページ9
『ありがとうございます。そう言って頂けると嬉しいです』
そう言って微笑むと、ロボロは少し頬を赤らめた。思わず口元を抑える彼にAはまた首を傾げた。
『どうしました？』
「な、なんでもない。あ、ちょっと皿洗いしてくるわ」
と言ったきり、逃げるように彼は厨房の方へ去っていった。今日のロボロさんは調子が悪いのかなと思いながら厨房に消える彼の背中を眺めていた。
Aは趣味でUVレジンを使ってハンドメイドをしている。ちょうど、行きつけの手芸屋さんでピンクのラメ入りパウダーを見かけた。
『(ロボロさんに作ってあげたら、喜ぶかな)』
Aはそんな事を考えながらピンク色のラメパウダーを購入した。なぜピンクなのかというとこの色はロボロのイメージカラーであるからだ。彼の勤務しているカフェでは従業員1人1人にイメージカラーが決まっていてそれぞれが自分に合う色を身につけている。
Aは家に帰って早速、作り始める事にした。作るならどこにでも付けれるキーホルダーが妥当だと考えそれを作る事にした。
そして、出来上がったのは球体の中にピンクのラメパウダーが入っているキーホルダーだ。パウダーだけじゃ物足りないので宇宙をイメージして星や月などのパーツも入れた。光に当てるとキラキラと光って綺麗だった。我ながら傑作ができたものだと思った。しかし、問題はどうやって渡すかだ。生憎、作ったのであげますなんて正面から言えるほどの度胸をAは持ち合わせていない。
ロボロはこんな仕事しているのにも関わらず女慣れ出来ずにいた。しかし、最近よく見かける窓辺で勉強している女性客が法学の勉強をしていた。自分も大学生の頃法学部だったので親近感が湧いて話しかけたら仲良くなった。女友達なんてほとんどゼロに等しいロボロは常連の女性客に自分から話しかけて仲良くなれた事がとても嬉しかった。ついでに名前まで教えてもらった。
気づけば彼女はいつ来るだろうかとワクワクしながら仕事を楽しむ自分がいた。そして、入店を合図するベルが鳴りそちらを見るとその彼女が立っていた。
「あ、いらっしゃいAさん。今日も勉強？」
『今日は図書館で面白そうな小説があったのでいつものハーブティーを飲みながら読もうかなと』
「そっか。じゃあ、ご注文はハーブティーだけでええか？」
『はい、お願いします』
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作者名：雪だるま | 作成日時：2019年10月23日 21時
