【d!】我々カフェテリアにようこそ【短編集】 (ページ24)

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続きページ24

Aがこれを読んで思った事は、どんなこんな困難でも乗り越える力を持つ人はすごいなぁという事だった。多分、自分だったら結果になんなかったり嫌なことが続くと諦めるタイプだからなんとなく羨ましいと思った。
自分がもっとできる人間であれば…

「Aさんは何か悩んでいる事でも？」
『い、いえ。そんなこと』

心の中を見透かされた様な問いにAは驚いた。平然を装ったつもりで返事をしたが少々動揺した様な返事になってしまった。エーミールは彼女が何か悩みを持っている事に気づいた。どんな悩みを持っているのかそこまでは分からなかったが、自分にできる事なら彼女を手助けしてあげたいと考えた。

「これは、私のお節介かもしれませんが、もし、Aさんが何か悩んでいると仮定して………もしかしたら、Aさんは自分が非力で何も無い存在だと思っていませんか？」
『…………』

あまりに的確だったが為にAは押し黙る。エーミールはその様子を見て優しい声色で話し続けた。

「大丈夫ですよ。Aさん。貴方は健気で熱心な方です。私が保証します。この本の主人公はどんな困難が立ちはだかってもそれを乗り越えます。しかし、現実はそう簡単にいかないでしょう。当たり前のことです。この本の後半の話で主人公が挫けてしまうシーンがあるでしょう？」
『どうして、俺はこんなにも無力なのだろうのシーンですか………？』
「そうです。さすがAさんよく読んでますね」

エーミールは彼女の答えに関心した。彼女が隅々までしっかりと読み込んでいる事が伺えて嬉しかった。

「だから、誰もが何でもかんでも成功するわけでも無いんですよ。どんなにすごい人でも、そこには必ず失敗や苦難があります」
『失敗………苦難……』
「失敗が何ですか！俺なんてカフェのメンバーの中でめちゃくちゃスベる人間ですから！」
『ふふ、え？そうなんですか？』

エーミールは投げやりに自分のこのカフェでの立ち位置を話した。それを聞いたAは意外そうな表情をして思わず笑みを溢した。
１つ咳払いをしてエーミールは続けた。彼女が笑顔になったのは良いが自分の恥ずかしいところを自分で喋って普通に恥ずかしかった。